オランダからあふれ出す千葉
まず来てすぐ気がついたのだが、チューリップ畑をぐるり、テキ屋さんの屋台が取り囲んでいる。全景を写そうとすると、どうしても屋台がフレームイン。
せっかくのオランダ風車、そしてチューリップ、オランダ趣向のイベントももりだくさんということで、全体的にオランダで統一されたお祭りだと思っていたのだが、そうじゃない。会場全体、異常にマイペースなのである。
たちならぶ屋台の内容がまた良い。夏祭りで見るような綿あめとかあんず飴とかいった子供向けというよりむしろ、モツ煮とか焼き鶏とか妙に大人っぽいのだ。チューリップというより、桜のお花見のメニューがずらりだ。オランダ人もびっくりである。日本人の私もうろたえた。
どうしたっていうんだろう。私は今日、オランダに来たのではなかったか。ここはどこだ? 千葉だ。明らかに。
きている人たちもみんな気取らずに、思い思いにそこらに座って、焼き鶏だのおこわだの団子だのを食べてくつろいでいる。ものすごく適当な、いい雰囲気なのだ。
オランダイベントも俺流
オランダ気分を盛り上げるイベントもマイペースしきりだった。風車の前でアコーディオンの演奏があるというので行ってみると、普段着の日本人の男性と女性(有名なアコーディオン奏者の方だそうだ)が、「咲いた、咲いた」のチューリップの歌を演奏していた。2曲目はオランダの民謡かなにかを演奏するのだろうと思っていたが、演奏されたのは“ふるさと”。「うーさーぎ、おーいし」だ。お客さんもみんなで合唱している。ほんわかしすぎてどうにかなりそうだ。この雰囲気、すごい。
オランダ衣装の貸し出しもこれまたマイペースにプレハブのような一角で行われていた。その隣では郵便局の臨時店舗が長嶋茂雄さんの限定切手を販売していて、私が訪れた翌日はそこに1日郵便局長として長嶋一茂さんが来るということだった。すがすがしいほど自由だ。
わたしはというと、この空気を持て余しどうしていいか分からなくなったすえ、分からないなりに焼そばを買い求め、チューリップの目の前に陣取ってもさもさ食べていた。アコーディオンではまだ ふるさとの演奏が続いている。右を見上げれば風車がまわり、チューリップはやはり咲き乱れ、屋台からは客引きの声が聞こえる。あ、この焼そばに紅しょうが入ってないじゃんか! というか、何しに来たんだっけ? |