ご近所旅情
時おりひとり旅には、普段の生活から離れることで「自分を見つめ直す」など、叙情的な目的が付随することがあるけれど、今回の場合ボクにはそういう企てはみじんもない。
みじんもないのだけれど、近所のホテルへと向かう道のりは、いつもと違った景色に見える。
いや、無理にそう見ようとしている自分がいるのだ。
近所に泊まるという、いささか不毛と言えなくもない行為を自分の中で正当化するために、いつもと同じ景色を旅情という色メガネを通してみようとしている。
いったんそう見えはじめると、もうなし崩し的に街のすべてが旅情たっぷりに感じられる。
ちょっと出張にでも来た気分だ。
でも、近所だ。 |