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ロマンの木曜日
 
近所に泊まろう!
予約しちゃった


飲みに行ったときなど、終電の時刻を携帯電話で調べるたびごとに、その画面には「ホテル予約」を促す文字が現れる。
目的地は自分の家の最寄り駅なのに。

うちの近所のホテルなんかに全く用はないのだが、こう何度も何度も予約の誘いを受けると、泊まってみたくなるってのが人情というのものだ。

そこまで何度もせがまれちゃあ仕方があるめえ。
ついつい情にほだされ、近所のビジネスホテルを予約してしまったのだ。
「みちのくひとり旅」ならぬ「みちのてまえそのへんひとり旅」へと旅立った。

工藤 考浩



徒歩圏内に宿泊

「ああ、そろそろ予約したチェックインの時間だ。」とわが家の玄関を出て、徒歩で宿泊先のビジネスホテルへと向かう。
一人とぼとぼ歩きながら、これはなんとも不思議な旅行だなとあらためて気付く。
かなりの非日常性だ。

 

あらためて見ると旅っぽいかもと思わせる看板

 

ご近所旅情

時おりひとり旅には、普段の生活から離れることで「自分を見つめ直す」など、叙情的な目的が付随することがあるけれど、今回の場合ボクにはそういう企てはみじんもない。

みじんもないのだけれど、近所のホテルへと向かう道のりは、いつもと違った景色に見える。
いや、無理にそう見ようとしている自分がいるのだ。

近所に泊まるという、いささか不毛と言えなくもない行為を自分の中で正当化するために、いつもと同じ景色を旅情という色メガネを通してみようとしている。

いったんそう見えはじめると、もうなし崩し的に街のすべてが旅情たっぷりに感じられる。
ちょっと出張にでも来た気分だ。

でも、近所だ。


(本当は見慣れた)見知らぬホテルに着いた

でも、前金で宿泊料を支払ったときにはちょっと現実に戻った

 

失策

予約したチェックインの時刻は16時。
せっかくホテルに泊まるんだから早めのほうが良いと判断したのであるが、その判断は間違えだったと気付くのにさほどの時間は要しなかった。
部屋に入った瞬間に退屈を感じたのだ。

ビジネスホテルのシングルルームは、文字通りビジネスの疲れを癒すには充分な広さだが、なんの目的も持たずに滞在するボクには少し狭すぎる。
その狭さが、退屈となってボクに押し寄せる。


退屈を絵に描いたような退屈さ

 

ホテルでは何したらいいのか

窓の外を眺めても、有料テレビの最初のちょっとの無料部分を見ても、時間はなかなか過ぎない。
このままここで一晩過ごすのは大変つらいことだ。
もしかすると、本当に自分を見つめ直しちゃうことにもなりかねない。
それはやっかいだ。


あ、団地だ給水塔だと眺めていられるのもせいぜい10分

有料カードなしで見られるのは2分

 

観光でもしてみるか

普段仕事でビジネスホテルに泊まっても、退屈さなんて感じたことはない。
地方に泊まったときは、観光がてら駅前辺りをふらふらし、おいしそうな店を探して食事をする。

部屋にこもり続けるのは堪え難いので、普段の出張と同じように観光気分で駅前を散策してみようか。


 

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