途中、距離をはかるメジャーで私たちの腹まわりを計ったら「90cm」もあった。
「『90cm』の腹にしては速いのではないか」
と賞賛の声も聞かれたが、やはり記録には不満がのこる。
昔から、私は自分の記録に満足したことがただの一度もなかった。
いつでもふざけてばかりで、練習でも「これが限界だ」と思ったことがない。きちんとトレーニングさえすれば、もっともっと速くなれるような曲がった自信にあふれていた。
若さってこわい。
いやしかし、20年経った今もまた、40才を目前にして私は同じことを思っているのである。
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蜂を持って私をビビらせる伊藤さん |
歩くのもままならなくなり喫茶店になだれ込んだが、伊藤さんはまだまだやる気満々だった。さすが三児の母は強い。
「今度はみんなで、リレーやりましょうよ」
と、全身ボロボロの私に向かって目をギラギラさせてそう言った。
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