その2:けっこう手がこんでた
これはどうだろう。「偽パンでブローチ作り」だ。これは家で、おかあさんに頼んで、あまった粉や、卵の黄身をちょっとだけ分けてもらって作ろう!
耳たぶくらいの固さになるまで粉を調節し、こねる。今自分は真夜中何をしているんだろうと、ふと雨の中思ふ。
ああ、遊んでいるんだった。じゃ無心に練ろう。
はっきりいって粉を練るのは面倒だ。クラスで見せびらかしたいだけのために、私はこんなことをしていたんだろうか。いたんだろうな。見せびらかしたいもんな。と当時の自分の気持ちにシンクロしながら、卵黄を取り出します。
よく食品サンプルをストラップにしたり、ブローチにしたり、という商品を見かけるが、これはほぼパンの材料から出来ている、まさに「食品サンプル」だ。
黄身を塗って焼いたのでいい匂いがしてうっかり口に運びそうになるが、単なる小麦粉の塊を焼いただけである。子供のときもそんなことはしなかった。
さて、ブローチになっておりますので、つけてみましょう。
こういうことにクラス中(主に女子)が夢中になっていた。ただ持続性はなく、ボンドマスコットもパンブローチも、いつ、どれくらいの期間流行ったかは覚えていないが、そんなにいつまでもブームじゃなかった気がする。
でも「ボンド固めて塗るだけ」「小麦粉練って焼くだけ」であんなに盛り上がれたものか、と、朝方近い今、単純なコドモパワーに呆然としている。