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ひらめきの月曜日
 
夏にぴったりのマフラー

暑い暑い夏が来る。

現在そんな夏を控えて私の住む東京は梅雨真っ只中。外に出られないので、家でできるアクティビティを実行した。
編み物である。夏にぴったりの、マフラーを作ったのだ。

マフラーといえばいわずもがな防寒具であるが、今回私が作ったのはかつてなく夏仕様なのである! ばーん!

(text by 古賀及子





これが夏にぴったりのマフラーです!

どこが夏?

と、まずは今回こしらえた夏のマフラーをごらんいただいた。

鮮やかなブルーのウール100%の毛糸で作ったマフラー。「まあ、色的に夏っぽいけど、まさかそれだけ?!」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、ちょっと辛抱してもう少しおつきあいください。

キモは、毛糸を手染めしたところにあります。

ざざっと、その作業を見て参りましょう。


買ってきたのは極太のオフホワイト毛糸。染料を定着させるにはウールなどの自然の素材でないとうまくいかないらしい。1)ほぐして軽く糸でしばる。
 
なんか、そうめんぽいですが、それはあんまり関係ありません。


2)染色料をなべに入れて3)水で5倍ぐらいに薄め、全量の20%ぐらい適当にお酢を入れる。
  お酢パワーで染料が定着しやすくなるらしいです。

4)毛糸はぬるまゆで湿らせておく。
  
やっぱりこれそうめんだ
5)お湯程度に温かくした染料の鍋に入れる。
  熱すぎると毛糸がぶよぶよするので注意

6)沸騰しないように気をつけつつ、30分ほど煮る。
  手染めの風合いが出るのでわりとかき混ぜなくても大丈夫。ヒマなので夏にぴったりのデザートを食べながら待つ。
7)30分後煮作業終了。
  お湯をすくってみると、色が消えている! 毛糸に全部移ったと思われる。

8)ぬるまゆで4〜5回すすぐ。
 
染まってもなお、麺の風情がきえない。この麺のイメージのせいだろうか。
10)洗濯機で軽く脱水。
  まだ麺っぽい。

11)陰干し。
 
私は早く編みたかったのでドライヤーで乾かしました。かなり荒業。
12)染め、完了。
 
右が染め前。しっかりいいお色に。

というわけで、ラムネの匂いにかこまれながら毛糸を染め上げた。

染まりあがった毛糸はベタベタするかと心配だったけど、すすぐ前からそれほどべたつきはなかった。

……と、このマフラーの夏にぴったりたるゆえん、バレましたでしょうか。そう、この毛糸、かき氷のブルーハワイのシロップで染めたのです。


この「染料」が、かき氷シロップだったのだ。わーい!いちご、メロンというほかのフレーバー名にかこまれていたザ、「ブルー」

以前、ジュースやかき氷シロップなどで着色料のギッチリはいったもので布や毛糸が染められると、子供向けの実験本でみたことがあったのでやってみた。

正直、ここまで鮮やかに? と驚くほど色鮮やかに染め上がった。そりゃかき氷食べた後に舌も真っ青になるわけだ。

梅雨に編み物

そうして、夏にぴったりのマフラーづくり、このブルーハワイ毛糸を使ってあとは黙々と編みの作業である。


じめじめし、明らかに夏に向かう気候、そして手の中には編み物。(→は梅雨でどうにも乾かない洗濯物)

「ナンデナツニムケテオマエハまふらーヲアンデイルンダイ?」

蒸し暑く、完全に半そでのこのごろ。手が編み棒を操りながらも、頭は混乱だった。

何度も「なぜ、今私は編み物を?!」 という疑問にさいなまれ、でも手の中にある毛糸は、かき氷の色なのである。ああ、夏にぴったり。

静かな混乱と戦いながら編み続けた。


なお手芸店では秋冬毛糸が大バーゲンしておりました。そりゃそうだ

本気の夏になってしまってから編み続けるのは絶対につらい、今のうちに編み上げねば。その一身で約2晩(不器用人月計算)かけて編み上げたわけである。


……あったかいなあ

6月下旬現在ですでに、マフラーは暑苦しい。夏にぴったりのマフラーには違いなく手染めの軽い色むらも妙にいい風合いだが実用面においては課題が残った。

そして撮影のあと、マフラーはひっそりタンスの「冬物衣料コーナー」にしまわれたのだった。

やや冬に似合わない色ではあるが、寒くなったら巻こうと思う。そうして、寒いシーズンにかき氷のことを連想してヒヤッと体を奮わせるのだろう。

手芸店でみつけた編み物の本。食べ歩き情報プラス、編み方教則がついている。 強引な文化の融合にときめきまくり
 

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