駅前や繁華街などでしばしば目にする待ち合わせの風景。 時計や携帯電話を気にしながら、まだかしら、もうすぐかしらと待つあの人。 人込みの中に待ち人の姿を見つけると、ぱっと晴れやかな笑顔があの人に咲く。 お久しぶりです、こんにちは。
そんな、ちょっとうれしくて、ちょっと楽しい待ち合わせの風景を観察してきた。
(工藤 考浩)
解説者を迎える
今回の企画には特別に、解説者として、日本待ち合わせ研究会代表で関東国際大学総務課主任の細川茂さんに参加していただいた。 ここからは細川さんと一緒に待ち合わせをウォッチして行きたい。
工藤:細川さん、よろしくお願いします。 細川:こちらこそ。 工藤:まずやってきたのは東京駅ですね。 細川:はい、東京駅はまさに東京の玄関口、様々な待ち合わせを観察する事ができます。待ち合わせの基礎を学ぶには最適な場所です。 工藤:なるほど、ではさっそく観察して参りましょう。
待ち合わせには「型」がある
工藤:ところで細川さん、ひとくちに待ち合わせといっても、いろいろと種類がありますよね。 細川:その通りです。例えば、駅での待ち合わせだけでも友人同士、恋人同士、親子、親戚、仕事相手など様々です。 工藤:なるほど。 細川:また、待ち合わせしているように見えてそうではない、我々のような待ち合わせウォッチャーもいます。 工藤:いますか、そんな人? 細川:ええ。だってこの前、ひとりで待ち合わせている女の人に「ねえ、待ち合わせ?」って訊いている人がいましたから。あの人は相当の待ち合わせマニアに違いありません。 工藤:それはナンパですね。 細川:やっぱり。
親友型ですね
工藤:どうやらずいぶん親しい人同士のようですね。 細川:そうですね。お互いの心の距離が近いのでしょう、物理的な距離も接近しています。 工藤:本当だ、手と手が触れ合いそうですね。気心の知れた二人といったところですね。 細川: おそらく高校時代の同級生でしょう。 工藤:では、ひさしぶりの再会で? 細川:いえ、年に一、二度のペースで会っていますね。数年ぶりに会ったにしては、感激が少ないように見えます。 細川:典型的な「親友型」の待ち合わせです。これから丸ビルのカフェでお茶をするでしょう。
日本男児の優しさ
工藤:次の観察はどの方にしましょう? 細川:あちらのお父さんなんかいかがでしょう。 工藤:あのメガネの方ですね。 細川: おそらく家族を待っていると思われます。 工藤:あ、おばあちゃんが改札から出てきました。 細川:母親を待っていたようですね。
親戚・荷物持つ型
工藤:さりげなく荷物を持ちましたね。 細川:美しい日本人男性の優しさです。 細川:母親がどこか親戚の家にでも出かけていたのを迎えに来たのでしょう。 工藤:母親が改札から出てきても、特に声を掛けたりしませんでしたね。 細川:大げさな挨拶が無く、素晴らしい待ち合わせですね。 工藤:元気そうな母の顔を見ただけで、言葉はいらない、ということでしょうか。 細川:これが待ち合わせ観察の魅力です。
おじぎ型
工藤:次の観察対象は…、あ、あそこに待ち合わせがありますね。 細川:繰り返しおじぎをしています。あまり親しくない人同士でしょう。 工藤:ずいぶんとおじぎをしている人の間が離れていますね。 細川:必要以上に礼を尽くさなければならない間柄ですね。 工藤:とりあえずおじぎをしておけばカドが立たない。
「その節は世話になりました」「こちらこそ」
話し込み型
工藤:こちらの待ち合わせはにぎやかですね。 細川:おそらく親戚同士なのでしょうが、ずいぶん話に花が咲いていますね 工藤:ピンク色が好きな人に声が大きい人が多いですよね。 細川:そうでしょうか。 工藤:そんなことありませんか。 細川:ありませんね。
観察場所を移動する
東京駅という場所柄からか、家族や親戚の待ち合わせが多い。 わざわざ会いに来た、というような待ち合わせが目に付いた。 そろそろ次の場所に移動して、もう少し違うタイプの待ち合わせを観察してみたい。