こじゃれたバーで交わされるらしき会話に、
マスター「なんにしますか?」 女客「カクテル。私のイメージで」
というものがあるそうですが、来店5分で、その客の人となりがわかるはずがない! 仮に常連客だったとしても、夜の数時間だけで何がわかるというのだ!
などと意味もなく憤慨しながら、本当に「私をイメージしたカクテル」をつくってもらうべく、夜の街にでかけてみました。
(text by 加藤 和美)
今回「私をイメージしたカクテル」のレシピを考えてもらったのは、バーのマスターをやっている弟。
生まれたときから知っていて、つきあいは29年。うち16年くらいはいっしょに住んでいる。
これ以上私のことを知っているバーテンダーがいるだろうか。いや、いない(反語)
何を作られるのか、ちょっとこわい気もするが……。
弟は静岡在住で直接作ってもらえないので、札幌にある知り合いの店で再現してもらうことにした。
そんなわけで今回ご協力いただくシネマカフェさんへ。
ここのマスターは、映画をモチーフにしたカクテルを作っているのだが、映画のセレクションがちょっと変わっている。
昔の名画をモチーフにしたカクテルも当然ある。しかしこの店の場合、「Mr.インクレディブル」「シカゴ」といった最近の映画や、「カル」「シンドラーのリスト」など、思い出すと食欲がなくなりそうな映画、また「キューティーハニー」「NANA」などのカワイイ邦画カクテルまである。
なぜこの映画のチョイスなのかマスターにたずねたところ、 「なんだっていいでしょ」 と言っていたので、単なるシュミなのだろう。
ハッ、「真の私をイメージしたカクテル」のことを忘れそうな勢いで飲んだり食ったりと、くつろいでしまった。
マスターにレシピをメールしてあるので、さっそくひとつめのカクテルを作ってもらう。
今回、出てくるカクテルの正体を知らないようにするため、私は作っているところを見ていないのだが、カウンターから、
「なんだこれ」 「これでいいのかなあ」
といったマスターの不審げな声が聞こえてきたのが非常に気になる。
なにやらシェイクする音が聞こえた後、出てきたのがコチラ。
緑色のキレイなカクテル。 意外とふつうじゃないかー!
飲んでみると、抹茶の味。 メインは抹茶リキュールだろうか。
色もキレイだし、飲みやすいし、これはいけますよ!
「マスター、明日からメニューに追加したらどうですか!?カクテルの名前は『グリーンマイル』か『グリーンディスティニー』で!」と興奮気味にオススメしたがマスターは困惑気味。
抹茶の味以外にも、何か「いぐさっぽい」草のにおいがするのが気になるが、いったい正体はなんだろう。
作品番号1「メイドインシズオカ」
レシピ: 抹茶リキュール30ml 青汁10ml ブルーキュラソー10ml みかんのしぼり汁10ml ヤクルト 1ティースプーン
上記の材料でシェイクする。 ただし、色をキレイにしたいなら青汁とみかんを減らす。
なるほど静岡ねー……って、あの草っぽい味の正体は青汁か!!!
弟のコメント:
静岡出身なので、シズオカというカクテルを変化させた。 メロンリキュールやグリーンアップルリキュールの代わりに抹茶リキュールと青汁。 ライムジュースの代わりにみかん。 あとカルピスの代わりに、昔よく飲んでいたヤクルトにしてみた。
妙に体(特に腸)に良さそうなカクテルだな。
以前飲んだシズオカより緑っぽい、というか、若干沼っぽい色なってしまったのは、青汁パワーだろうか。