皆さんは、記者会見を開いたことがおありだろうか。 ボクは、無い。 大勢の記者団の前で、たくさんのフラッシュをあびる。 うらやましい。一度やってみたい。 本物の記者会見は無理なので、自宅で記者会見を開いてみた。
(工藤 考浩)
記者会見場は茶の間
記者会見を開く場合、通常はどこかのホテルとか、会館とか、そういうところを使うのだろうけれど、それにはずいぶんお金がかかるだろう。 なので、わが家のリビングルームを記者会見場に設定した。 わが家は古い家なので、リビングルームは和室だ。 つまり「お茶の間」である。 しかし、普通の和室でも、工夫次第で記者会見は開けるのではないだろうか。
記者会見には机が必要だ
記者会見を行なうには、まず何といっても机が必要だ。 テレビなどを見ていると、白いテーブルクロスの掛かった机が置いてあることが多い。 しかしわが家にはちょうどよい高さの机が見当たらないので、アイロン台をその代わりにした。 また、白いテーブルクロスも無いので、シーツを用いた。
マイクも用意しなくちゃ
もちろんアイロン台とシーツだけでは記者会見は開けない。 一番重要なもの、そう「マイク」が必要だ。 しかし、記者会見を開くことを想定していない一般的な家庭であるわが家には、マイクなんて存在しない。 日ごろの備えが必要である。 家族会議の結果、一度買っておけば一生ものだということで、マイクを買いに出かけたのだが、記者会見用のマイクがどこに売っているのかわからない。 なので、100円ショップでそれらしいものを買ってきた。
しかし、このポテトマッシャーを置いただけではいささかマイク感に欠けるので、台所にあったスチールウールのタワシを先っちょにはめてみた。
なんだか花が無いなあ
ポテトマッシャーのマイクは驚くほどマイクらしくなった。これでイモがつぶせるとはにわかには信じがたいほどだ。 しかし、机の上にマイクがあるだけでは、なんとも殺風景でいけない。 花でも置いてみるか。
スポンサー飲料
特にスポーツ関係の記者会見では、その選手なりイベントなりを後援している飲料メーカーのドリンクがテーブルの上にわざとらしく並べてあったりする。 きちんと、ボトルのラベルが正面を向くようにして。 それもぜひマネしたいと思ったのだが、ボクのスポンサーになってくれる飲料メーカーなどないので、いつもお世話になっている「宝焼酎」を並べてみた。
もうひとつ物足りない
かなり記者会見に近づいてきているが、もう一歩のところで何かが足りていない気がする。 やはり、背景の「ふすま」のせいだろう。 記者会見のバックがふすまというのはあまり見たことがない。 その理由は、おそらく貧乏臭いからだろう。 芸能人の結婚記者会見なんかは金屏風がうしろに立っていたりするが、最近の記者会見の流行としては、スポンサーのロゴが市松模様に並んでいる背景を使用していることが多い。 それを作ってみよう。
記者会見用パネルを買ってた
近所のホームセンターに出向き、スチロールのパネルを買ってきた。 それに、コンビニでカラーコピーした公式スポンサーのロゴを貼ってゆく。 くどいようだが、ボクには公式スポンサーがいないので、デイリーポータルZのロゴを貼ることにした。
一見晴れがましいはずの記者会見だが、実際のところは地道で細かい作業である。 注目をあびる記者会見のうらでは、このような努力が重ねられているのだ。
記者会見場完成
できた。 記者会見場ができあがった。 すばらしい。 我ながら感動してしまうほどの出来栄えだ。 完ぺきなまでに、どこからどう見ても記者会見場である。
わが家とは思えない
できあがったパネルをふすまに立て掛けて、三脚に据え付けていたデジカメのファインダーをのぞいて見て、おもわず顔がにやけてしまった。 ほんの1時間で、わが家が記者会見場になってしまった。
では、僭越ながら記者会見場に座らせていただこう。
「記者会見場完成記念」記者会見
なんだかまるで大スターになった気分だ。 すっかり記者会見である。 とてもうれしい。 舞い上がってしまい、気付いたらひとりで記者会見ごっこをしていた。 大人になっても「ごっこ遊び」がこんなに楽しいとは思っていなかった。
記者会見場の作り方
ボクのような素人でも、意外と簡単に記者会見を開くことができた。 読者の皆さんにも気軽に記者会見を楽しんでもらえるように、記者会見場の設営の模様を定点カメラで記録したので参考にしていただきたい。
夢がかなった
記者会見を開きたいという夢は、いとも簡単にかなった。 ずいぶん遠いところにある夢だと思っていたけれど、挑戦してみると、それはすぐ手の届くところにあった。 夢を夢で終わらせないためには、まずは行動を起こさなくては。 今回の記者会見で、そんなことを皆さんに伝えたい、そう思った。