裏に回った展示室、確かにそこにナマケモノはいた。
【10:46】 期待を裏切らないなまけぶり
実にいい感じでなまけていると思う。動物名の展示板がなければ、ナマケモノだとは気づけないくらいのなまけぶり。言われなければ単なるでかい毛玉だ。
見ているとかすかに動いたが、それも実にゆっくりとしたもの。むしろなまけ度はさらにアップしている感じだ。出会い当初からビンビンなまけているナマケモノ、期待を裏切らないなまけぶりで大変うれしい。
さらに見ていると、あくびをするナマケモノ。なまけっぷりを増幅させる行動をしっかりと押さえてくるナマケモノ、いい味出し過ぎという感もある。
親子連れが展示室の前にやってくるも、ナマケモノの側は特にリアクションを見せることもない。親子連れの方も「あ、ナマケモノだ」「ナマケモノだね」といったくらいのドライな会話。言葉にせずとも「仕方ないよな、ナマケモノだし」というムードだ。
そもそもナマケモノは本当にナマケモノなのだろうか。そんな疑問に早くも答えるパネルが展示してあった。
「決して、なまけているのではありませんよ」と締められた解説。そうだったのか…。
いや、本当にそうだろうか。ナマケモノの動きが少ない理由は上の説明でよくわかった。ただ、そういう生態はあるものの、人間と同じように本当になまけているナマケモノがいる可能性もあるのでないだろうか。
何をむきになっているのかわからないが、結論はこの目で確かめたい。
再び毛玉形態になってなまけてるナマケモノ。ナマケモノだからそれでいいのだが、もしもこのままだったらもう書くことがなくなってしまう。どうしよう。
どうかと思っていたのだが、さらに観察しているとナマケモノが動き出した。もぞもぞとその場で体を動かすというのではなく、移動を始めたようなのだ。
まだ観察をはじめてそれほどの時間が経ったわけでもないが、思った以上に早く具体的な行動を見せるナマケモノ。綱でつながっている表側の檻へと行ってしまった。正直なところ、意外な展開だ。
「ナマケモノなのに…」という裏切られたような思いを抱きつつ、表側に回ってみる。