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ちしきの金曜日
 
全長100メートルの深海魚


夏の夜。郊外に巨大な深海魚が横たわっている。今回はそれを見に出かけた。

(text by 大山 顕



深海魚とはこれのこと。

ご存知ゴルフ練習場。たわんだ緑色のネットがライトアップされ、巨大な深海魚のように見えませんか。

以 前からこの「打ちっぱなし」と呼ばれるゴルフ練習場が気になってしょうがなかった。巨大な柱とネットだけの構造物が郊外の住宅街に聳え立つ。由緒正しい日 本の風景だ。ゴルフクラブも握ったことがなく、スポーツとしてのゴルフにはまったく興味がないが、練習場にはぐっとくる。ぜひ見物して回って、写真に収め たかった。

以前、夜ジャングルジムを撮った際に「もっと大きなものを同じように撮りたい」と思ったが、その点でも今回は絶好の被写体だ。なぜなら打ちっぱなしもジャングルジムと同様、背景が透けて見えちゃう構造物だから。昼間撮ると背景がごちゃごちゃしてしまう。夜しかない。

しかもジャングルジムのとき「オーヤマメソッド」などと題して自分でライティングしたが今回はその必要もない。勝手にライトアップされてるのだ。「自動オーヤマメソッド」だ。

そうして撮れた写真がまるで巨大な深海魚だった。そういうことです。

 

■撮影への無駄なこだわり

今回は、そのゴルフ練習場を撮影するにあたり特別な機材で臨むことにした。いわゆる「4×5(シノゴ)」と呼ばれるカメラだ。最高の夜には最高の酒を。最高の被写体には最高のカメラを。

まずは撮影装備一式を見ていただき、打ちっぱなしに対するぼくの入れ込みようを感じていただきたい。


カメラ本体。かなり大きい。普通は金属でできているが重いのでぼくは木製のものを愛用している。
レンズ群。レンズは独立していて撮影用途に合わせてカメラ本体にそのつど取り付ける。ズームなんて甘っちょろいものはない。必要な倍率の種類だけレンズを用意しなければならない。そして、非常に高価で、重い。
三脚。重いカメラとレンズを載せるので三脚も重さ勝負。ちょっとした鈍器のような風情。運ぶと肩が凝ります。
フィルムホルダー。この手のカメラはファインダー部分がそのままフィルム装着部なのだ。だからこういうフィルムを収めてファインダー部に取り付けるパーツが必要になる。
水準器。三脚に載せたカメラの水平を測るために必須のアイテム。これがなければボスは倒せない。建築物を撮るときには水平がきちっと出ていることがとても大事なのだ。ぼくの人生で唯一きちっとしているのが撮影時の水平度。
レリーズ。普通のカメラでは長いシャッタースピードのときにぶれるのを防ぐために使うが、このカメラではそもそもレリーズがなければシャッターが下りない。そういうやっかいなシロモノ。
ルーペ。これがないとピントが合わせられない。ファインダーはガラスになっていてそこに写る像をこのルーペで拡大して覗き、ピントを合わせる。
露出計。ユーザビリティを無視したカメラなので当然シャッタースピードなんて自動で計算してくれないし、それどころか露出計すらついていない。だから別途こういう計測器を用意しなければならない。
フィルム。「4×5(シノゴ)」と呼ばれるゆえんはフィルムが縦4インチ、横5インチという大きさだから。写真では紙のケースに収められている。20枚で8000円なり。現像代も高価。でも超ハイクオリティに撮れる。撮るのはゴルフ練習場だけど。

いざ、深海魚ハンティング。わくわくする。

 

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