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フェティッシュの火曜日
 
野菜花火・麦茶の炎

一句詠んでみた。

「ベランダで 一人優雅に 線香花火」

強気に「優雅」なんて言っても、そこに漂うもの悲しさは否めない。
それなら一人花火でも、楽しく実験して「おお!」と感動しようじゃないか。

そしてなぜかその花火は、目薬や麦茶の炎の色を見ることになったのだった。
自分でも驚いた。

佐倉 美穂



野菜と漂白剤で酸素が出る

鉄、燃やしたことはありますか。
頷いたツワモノはあまりいないのではなかろうか。学校ではなく、個人でだぞ。

鉄も条件を整えれば立派な花火になるのだ。
そのためには酸素が必須アイテム。

その酸素、実は野菜と漂白剤で簡単に出来るのだ。


新鮮なものを使いましょう

漂白剤は過酸化水素が入っているものを使う。
子供の頃、傷口の消毒にオキシドール(過酸化水素)を塗ったら泡が出なかったかい?
あの泡の中身が酸素なのだ。

野菜にはニンジンをチョイス。


ペットのスカンクが良く食べる

すり下ろして少量を器に入れ、漂白剤を入れる。

こんな少量でいいんです
二つが出会った瞬間に泡
軽くフタを乗せ、酸素が逃げないように待つ
割り箸で泡を叩くように消す

注いだ瞬間に泡がたち、それはもう極上の舌触りに……
のわけがない。
漂白剤がすり下ろした野菜に触れると酸素が発生するのだ。しかし酸素はその泡の中身であり、泡が潰れないと酸素が収集できない。

待っても、揺すっても、割り箸で泡を潰そうとしても、みるみるうちに器の上部まできた泡を消すことができず、「クリーミィでなめらか」という状態をこんなに呪ったことはない。

そういえば酸素バーなるものがあったな。酸素入り、と名乗る飲物なども増えている。
では少し、フタをずらした時に気体を吸ってみよう。

うん、ハイターの香り。
実際、高濃度の酸素は有毒なので、この実験で発生した気体は吸わないのが吉だろう。

それにしても泡が潰れない。かき混ぜたらさらに泡だってしまった。
こうなったら鳴くまで待とうホトトギスだ。
時間を置いてみようじゃないか。


しばらくお待ちください。僕は寝ています。

20分ほど待ったか、ニンジン液の泡がカスカスになっている。
びっしり植え付けられた昆虫の卵から幼虫が抜けた後のような透明感と乾燥感だ。
弾力の無くなった泡を潰し、炎を消した線香を容器の上部に入れてみると……


乾燥した泡を潰して線香を近づけると
炎、再来。

炎上。
酸素発生確認せいこう!

 

スチールウールで花火

酸素が発生したとなると、今度は燃やす鉄だ。
なるべく表面積の多い、酸素に触れる場所が多い鉄……スチールウールだ。

スチールウールを細く引っ張って竹串に巻き、



火を付けて、新しく用意した酸素の器の中に入れると


 

パチパチッという音とともに炎がスチールウールを登ってゆき、その道程では火花が散り、飛び、本当に見事な線香花火になった。
すぐに終わってしまうのは寂しいが、それも線香花火の儚さの味とも言える。ああ、日本の夏ですよ。
しかし速く動く炎の写真は難しく、写りが悪いのが残念でならない。
ぜひ皆さんも実物を見てほしい。

さて、せっかくの火遊びだ。いろいろな物を燃やしてカラフルな炎を見よう。麦茶とか。


 

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