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フェティッシュの火曜日
 
対人スキルが高すぎる人

事例 4

会社の近所で開かれる地元の人だけが参加するお祭りに参加してお神輿を担いでいた


−−−特殊な経験ですよね

毎日お昼ごはんを食べに行ってたお店で頼まれたんです。地域のお祭りに参加しなきゃ行けないんだけど、嫌だから平田さん出てって。

−−− 毎日お店に行ってもそんなことふつう言われないと思います。「嫌だから」って。

なんでだろう。あ、よく料理をほめてました。そうすると作り方を教えてくれるんです。「水にさらすのがコツ」とかそういう話を聞いてました。

−−− 料理は自分でやるんですか

しません。だから聞いても役に立たないんですよね。なんで自分がそんなに沈黙を恐れるのかよく分かりません。

−−− それでお店の人の代わりにお神輿担いだんですか

ええ。担いでるときに「きみ誰?」って言われたらどうしようってどきどきしながら担いでました

他人ですもんね。

実際の写真

社交的なようで閉じている

平田さんの話に共通しているのは「沈黙が怖い」「自分のことを話したくない」だ。そのために愚痴の聞き手に徹する。話したくないから黙ってる、ではなくて、話したくないから相手に話させる、のだ。

−−−いま会社ではどうですか?

自分が話さなきゃいけないときも相手にしゃべってもらって終わることが多いですね。 会社は話したがりが多いので、そうすると場が和みます。

会社は話したがりが多い、というのは納得できるし僕もそういうところがあるのでドキっとする。確かにいっしょに働いているときも、いつのまにか僕ばかり話していることが多かった。

−−−たとえば今の僕を目の前にして、なにをきっかけに会話をはじめますか?

この人のどこをきっかけに話をするか、みなさんも考えてみてください

Tシャツかな。帽子はほめません。目立つところを言うと「あーそれね」って思われてしまうので。ちょっと外したところを話題にします。あ、スニーカーいいですね。え、それどこの…。

平田さんに会話のきっかけを聞いていたはずなのに、気づけば僕は自分のスニーカーの説明をしていた。 銀座のABCマートで買ったこと。履きやすいこと。などなど。

いいか、これが

平田さんは「あーなるほどねー」などと言って相づちをしていた。また話をさせられている。油断できない。


得をしているわけではない

一見、他人を利用しているように見える平田さんだが、休みの日に祭りに参加させられたり、高いジャズの店に連れて行かされたりしている。まるっきり得しているわけではない。事例4で本人が言っている、「なんで自分がそんなに沈黙を恐れるのかよく分かりません。」が本心に近いかもしれない。

対人スキルのテクニックを聞くためのインタビューであったが、うっかり闇を見た気がする。書き始めは本名で原稿を書いていたが、やはり仮名にすることにした。

最後に、平田さんのまじめさが見えた質問と答えを掲載したい。

−−−若い女性に対してそういう会話をして仲良くなろうとかはしないんですか

しないです。いきなり愚痴の話をされるような関係になってしまうから。 「で、この前の続きだけど」って感じで。それは楽しくないし、愚痴を聞いているあいだに嫌になってしまうんです。

かばんがかわいい

−−−もっとちゃんとしたい、と

タクシーとかお店だと一瞬で終わるけど、異性との間でそれがずーっと続くのは避けたいですね。

−−− 自分の愚痴を聞いてもらうのはどうですか。

自分がそういう受けこたえをしているので、「わかるわかる」って言われても「うそだあ」って思ってしまいます。

人と仲良くなるという能力が高すぎて、便利なんだか便利じゃないんだか分からなくなっている。


おまけ

平田さんはタクシーに乗っても運転手と話をする。

−−−たいてい運転手さんとものすごく盛り上がってますよね。

あの狭い空間に運転手さんと二人きりで黙っているというのが耐えられないです。とにかく会話がしたいですね。

最後に平田さんがタクシーの運転手さんと仲良くなるためのチャートを書いてくれたので掲載します。皆さん実践してください。

クリックで拡大します

これでうまくいかないときはオロオロしたり、なにがいけなかったのかひとりで反省会をします。

研究熱心である。目立たないけど静かにおかしなことになっている。


 

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