ネットにつなぐ最終兵器、音響カプラを使う
今から10年近く前、当時勤めていた会社の社員旅行で香港に行った。忙しい時期だったので現地でも仕事をする羽目になってしまい、全く迷惑な社員旅行だ、などとぼやきながら、とりあえずネットにつなごうとした。しかし、当時はインターネットの黎明期である。ホテルにネット環境なんてない。電話線はジャック接続ではなく、壁から直接出ていてモデムを電話回線に直接接続出来ない。
「無理ですよ。あきらめて観光しましょう」
と一緒に仕事をしていた先輩に提案してみたが、先輩はあきらめず、カバンから受話器みたいな器具を取り出した。音響カプラである。音響カプラを電話機の受話器に密着させ、受話器のスピーカーとマイクを介してネットに接続するというのだ。そんなスパイみたいな事出来るのか? やっぱりうまく行かず結局仕事をあきらめる。そうなる事を見込んで、先輩が音響カプラでネットにつなぐところを見ていた。
しばらく試行錯誤を繰り返した後、ピーガーガガガーピーと音がした。本当につながってしまったのだ。やっぱり仕事かとがっかりした反面、音響カプラの力には素直に感動した。カプラ、凄い。
前置きが長くなってしまった。
今回はそんな音響カプラを使って、黒電話からインターネットにつなげてみようという企画である。 |