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ロマンの木曜日
 
 黒電話でインターネット
僕が子供の頃、家の電話は黒電話だった。多分、どこの家も黒電話だったはずだ。ジーコ、ジーコとダイヤルを回す黒電話。今はほとんど使われていないと思う。

そんな黒電話を介してインターネットにつなげて見ようと考えた。昔の道具だって使い方次第では現代の機能に近づけるはずだ。

(text by 住 正徳



ネットにつなぐ最終兵器、音響カプラを使う

今から10年近く前、当時勤めていた会社の社員旅行で香港に行った。忙しい時期だったので現地でも仕事をする羽目になってしまい、全く迷惑な社員旅行だ、などとぼやきながら、とりあえずネットにつなごうとした。しかし、当時はインターネットの黎明期である。ホテルにネット環境なんてない。電話線はジャック接続ではなく、壁から直接出ていてモデムを電話回線に直接接続出来ない。

「無理ですよ。あきらめて観光しましょう」

と一緒に仕事をしていた先輩に提案してみたが、先輩はあきらめず、カバンから受話器みたいな器具を取り出した。音響カプラである。音響カプラを電話機の受話器に密着させ、受話器のスピーカーとマイクを介してネットに接続するというのだ。そんなスパイみたいな事出来るのか? やっぱりうまく行かず結局仕事をあきらめる。そうなる事を見込んで、先輩が音響カプラでネットにつなぐところを見ていた。

しばらく試行錯誤を繰り返した後、ピーガーガガガーピーと音がした。本当につながってしまったのだ。やっぱり仕事かとがっかりした反面、音響カプラの力には素直に感動した。カプラ、凄い。

前置きが長くなってしまった。
今回はそんな音響カプラを使って、黒電話からインターネットにつなげてみようという企画である。

 

まずはビジネスフォンでテスト

音響カプラを初めて目にしてから10年が経ち、ネット環境はドラスティックに変化した。当時の音響カプラの通信速度は5Kbps程度。昨今のブロードバンドは1秒に100MBなので、約20,000倍速くなった計算だ。20,000倍! お金に換算すると10年間で1円が2万円になった訳だ。0金利時代の今日では考えられない数字である。

それほど環境が変わった訳なので、音響カプラなんて手に入らないかもしれない。おっかなびっくりネットで検索をかけると、取り扱っているお店が結構あった。

事務所から一番近い、新宿御苑の「デバイスネット」という会社でカプラを購入した。「テレカプラー2プラス」という音響カプラで、最速28.8Kbpsの通信速度を保証している。ヨーロッパの古い街に出張で行く人や、中近東諸国で取材する記者の方などは今でも音響カプラをメインの通信手段として使用しているという。


テレカプラー2プラス

事務所に戻り、早速ビジネスフォンで音響カプラを試してみる事にした。

まずはノートパソコンの設定をいじる。ネットワーク接続から「新しい接続」を作成し、アナログ回線用の電話番号を設定する。僕はニフティさんの会員なので、ニフティさんのアクセスポイントを利用する。


ノートパソコンの設定

かつては全国に沢山あったアナログ回線用のアクセスポイントであるが、今は全国共通の番号1つだけになっていた。その1つだけの電話番号だってほとんど使われていないかもしれない。


ビジネスフォンを介して音響カプラでネットに

アクセスポイントの設定が済んだら、次はモデムの種類と速度を指定してパソコン側の設定は終了だ。

音響カプラをパソコンのモデム口につなぎ、ビジネスフォンの受話器と音響カプラをマジックテープで密着させて準備完了である。いよいよ、10年ぶりに音響カプラでネットにつないでみる。


接続中

電話機の外線ボタンを押し、モデムの「接続」ボタンをクリックするとすぐ「ピポパポ」と電話をかける音がした。電話をかけ終わると、ピーガーガガガーピー!とサーバーと交信する音が聞こえた。ネットに接続出来たのだ。


音声ファイル:ネット黎明期の接続音


速度は19.2Kbps

接続完了後、通信速度は19.2Kbpsと表示された。まずまずの速度である。デイリーポータルZのトップページ読み込みには2分弱かかった。

割とあっさりとビジネスフォンを介した音響カプラによる接続テストは成功した。
次は黒電話の手配である。



 

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