にこやかに私を迎えてくれたオーラさん。
いや、だからそうじゃないだろう。にこやかにしつつも、頭の中に「?」マークが点灯しているような表情と言えばいいだろうか。私が期待していたのはこうした反応ではない。
驚いてない。伝わってない。思い切り力を込めたパンチは、空振ったときのダメージが大きい。
「オーラさん、サムライって知ってますか?」
「いや、ちょっとわからないね」
「そうですか…。昔の日本人が戦うときの服装なんです…。」
「うーん、もしかしたらインドで勉強したかもしれないです」
オーラさんは日本語がとても堪能なのだが、サムライのことはご存知なかったようだ。ならば鎧も伝わるまい……。
私の作戦も浅はかだったと思う。これでは単に見慣れない格好をした日本人だ。「インドで勉強したかもしれない」とフォローしてくれたオーラさんの気遣いが心に沁みる。 |