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ひらめきの月曜日
 
100回噛んで食べました

たいへんでした

家の近くのデニーズへ行き、昨日と同じ「ビーフカレー」を注文した。さあ、噛んで噛んで噛みまくるぞ!

携帯電話のストップウォッチ機能をオンにして、さっそく食べ始める。まずはひとくち。

30回噛んだ時点で、早くもうんざりしてきた。40回、50回…。どんどん口の中に唾液が溜まり、口が膨れる。70回、うっかり飲み込んでしまいそうになる。噛むスピードを上げないと、口からカレーが漏れ出しそうだ。


噛みながらの自分撮りは難しい

そして、やっと100回。ホッとしてゴクリと飲み込む。米粒はどれも噛み潰され、唾液と同化してサラサラの状態だ。口の中で、ごはんがおかゆに変化したと言っていい。

100回噛むのに要した時間は1分だった。ひとくち1分。普段ならとても考えられない。

続けて2口目、3口目、と、それぞれ100回ずつ噛む。たくさん口に入れると唾液で口がパンパンになるため、ひとくち分の量を少なくしなければならない。

早くもアゴが疲れてきた。


5分で、まだこの状態

いつもなら、とっくに食べ終わっている時間だというのに、まだ4口目をもぐもぐと噛んでいる。100回噛むのが、まさかこんなに大変な作業だったとは。

果たして、このカレーはなくなるのだろうか。ああ、今日は長い夜になりそうだな…。

10口目を食べた時点で12分が経過。噛みながら、遠くの一点をボンヤリと見つめていることが多くなり、ひとくちにかかる時間も、1分では収まらなくなってきた。


かなり飽きてます

12口目(16分経過) 私と同じくらいに食べ始めた隣の席の客が、空いた皿を下げられた。

14口目(20分経過) つくづく疲れた。20分といえば「満腹中枢」が刺激され始める時間だが、なるほど満腹だ。というか、もういい。飽きた。ツライ。

でも、カレーはまだ半分以上残っている。なんだこれは。修行か。


食べながら、思わずため息をついていた

16口目(24分経過) もはや無の境地だ。皿の上のカレーに膜が張り始めた。隣の客、帰る。

17口目(26分経過) なんで早食いになったんだろう。2人姉妹で、壮絶な食べ物争いのなかで育ったワケでもないのに、不思議なものだ。

19口目(31分経過) 口を動かすのが面倒くさい。アゴが疲れて早く噛むことができない。ますます唾液が溜まる。気持ちが沈む。

21口目(35分経過) 残るカレーが恨めしい。


もう、うんざりだ

24口目(41分経過) 泣きたい。カレーを口に入れるのが苦痛になってきた。

26口目(45分経過) カレーが嫌いになりそうだ。なんだか、息が荒くなってきた。肩で息をする。

28口目(48分経過) こんなにカレーが不味く感じるなんて。やるんじゃなかった。

30口目(50分経過) 完食。


ついに、なくなった!
まさか、こんなに時間がかかるとは

食べ終えて、とにかくホッとした。心の底から良かったと思った。こんなにツライ食事は初めてだっただけに、達成感もひとしおである。

どんなに高い山でも歩き続けていれば踏破できるように、食べきれないと思われたカレーも、口を動かし続ければ確実に減るのだ。終わらないカレーはない。

最終的に、なにやら哲学的なことまで思いが至ってしまった。やはりこれは、修行だったのかもしれない。

100回は無理でも

それにしても、カレーひとつに50分もかかるとは。100回噛むことを心掛けようとしたら、昼休みが「食べる」だけで潰れてしまうということか。それに食べることに疲れ果てて、午後の業務にも差し支えそうだ。

うーむ、それは問題だな。でも100回は無理としても、意識して「噛もう」と思うだけで、きっと早食いは改善されるはずだ。それに時間をかけることで満腹にもなるし、食べる量も減るだろう。年々、体が巨大化している私こそ、やはりよく噛まねばならないのだ。

修行のように感じた「100回噛み」だが、苦痛を感じない程度に噛むことならできる。将来、餅をノドにからげて騒動を起こさないためにも、今から噛むことを習慣づけたいと思う。噛もう。

100回噛むと、自然と顔が暗くなるということも分かった。やはり、ほどほどがいいようだ。

 

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