ありがたい
この日の模様はラジオにも収録されているので、すでに御存知の方もいることだろう。好天にも恵まれ、予定していた撮影は順調に終わっていった。
あとは、遅れて参加した私の「新聞紙で寝る」を残すのみである。さっそく持参した新聞を広げる私に「光の加減から言って、もう少しこっちの方がいいよ」とか「アングル的にこっち」など、どんどん声がかかる。
なんてありがたいんでしょうか。
さらに、大勢がカメラを構えてくれている。家の中では洋服ポールまで持ち出して苦心した撮影だったのに、なんという違いだろうか。普段なら考えられないような厚遇ぶりに、涙が出そうだ。
ちなみにこの日は、新聞紙をかけた内部がどんな状態になるのか、温度の点からも考察してみるべく温度計を持参していた。
この温度計、コードの先端にセンサーが付いており、本体を外に出したままでも内部の温度が分かる仕組みになっている。
センサー部分と一緒に新聞紙を掛けられまくった。
全てが順調に進んでいるかのように見えた撮影だが、ここにきて誤算が生じた。風だ。屋外は風があったのだ。どんなに掛けても、風で飛ばされる新聞紙。
レジャーシートを固定する杭で打ち付けてみるものの、杭の数が足りず、新聞が体から離れていく。
ここで、なんと林さんから「セロテープ買ってきます」という声がかかった。
「いや、いいですよ。そんな、悪いです、大丈夫です」と恐縮のあまり声が出たが、確かにこのままではいつまで経っても撮影が終わらない。
お言葉に甘えて、テープを買い出しに行ってもらうことにした。ああ、自分以外の誰かが企画のことを考えてくれていることのありがたさよ。この至れり尽くせり感。クセになりそうだ。
胸のあたりから足元にかけて、ホカホカと非常に暖かく心地よい。そう、これだ。この心地よさだ。
実家で私が好きだった新聞紙被りは、屋外でも同様の効果を得ることができた。…と、結果は出たも同然だったが、まだきちんとした写真が撮れていない。せっかくの合同撮影会だ、骨の髄まで甘えてみよう。