●親と子供の「親子丼」を求めて
「親とタマゴ」ではなく、「親と子供」である親子丼。そんなリクエストをしておいて、出てきたのはこんな丼だった。
ビジュアル面での大胆さもある親子丼
こ、これは……。それが親子丼であるかどうかと言う前に、なんだか衝撃的な見た目の丼物になっている気がする。
「今日はなんだか忙しくてバタバタしてて…」という言葉とともに出された親子丼。大小それぞれの魚が乗っているということはわかる。
イワシとチリメンジャコという親子の親子丼。これまで意識したことはなかったが、言われてみれば親子だ。大人とタマゴではなく、大人と子供という意味ではより真実に親子。
それはそうなのだが…。頭でわかったところで、どうも見た目的に料理として認めていいのか疑問が残る。
ルールにのっとっているのはわかりつつも、今ひとつ腑に落ちないまま食べてみる。
……うーん、腑には落ちないけど、おいしいぞ。
それぞれうまい。ゴマやシソといった薬味も効いている。ただ、イワシとジャコとごはんとが別々の器に盛り付けられていても、おいしさ的には同じだったとも思う。
汚す器を最小限にするという意味では合理的な丼か。納得できないものが残りつつも、おいしくいただきました。
翌日は私の帰宅が早かったこともあって、自分でバリエーション親子丼づくりを実践。これまでお魚の親子丼が3つ出てきたが、そうでなくてもいいはずだ。
そんなコンセプトをもとに作ったのがこのどんぶり。
ひき肉を甘辛く炒めたものをごはんにしいて、その上に大豆と枝豆とを辛子マヨネーズで和えたものを乗せる。そしてサルサソースをトッピングしてみた。
おわかりだろうか、大豆と枝豆での親子丼だ。
成熟しきった大人の大豆と、まだ若者である枝豆。植物版の親子丼と言えばよいかと思う。
どんぶりトータルとしては、沖縄の名物のひとつであり私の好物でもあるタコライスをイメージしてみた。タコライスもそうして食べるように、軽く混ぜ込みながら食べてみる。
……おお、イメージどおりの味に近いぞ。うまい。
ひき肉とサルサソースというタコライスで約束されたおいしさに、二種類の豆が絡んでくる。そのプチプチとした食感がなかなかおもしろい。
豆の親子だけがメインを張るのではなく、他のものと一体化したおいしさ。調理と言えるほどのことはしていないが、具材を組み合わせてごはんに乗せるといっぱしの丼物になる。
自分で満足して食べている私の様子を見て、「そういうのでいいなら明日も作るわ」と言い出す妻。どんなものが出てくるだろうか。