ストリングラフィの創始者・水嶋さんインタビュー
というわけで後日、改めてお時間を頂き、ストリングラフィの考案者・水嶋さんにお話をお伺いすることにしました。
−−ストリングラフィはどんなきっかけで生まれたんですか?
大学で作曲や現代音楽を研究しているうちに、既存の楽器ではないオリジナルの楽器を作ってみたくなったんです。そこからいろんな楽器を作って試してみてたんですが、1992年に山形の月山の麓で行われた野外フェスティバルに出る時、「森全体を楽器にしてみよう」とひらめいて。そこで木と木の間に弦(糸)を張ることを思いつきました。
−−糸電話から思いついたんではなく、弦を張るところから先に思いついたんですね。
ええ。弦だけだと音が響かないのでスピーカー代わりになるものはないかとあれこれ試した結果、たどり着いたのがたまたま紙コップだったんです。糸も木綿やテグスなどいろんな糸を試した結果、一番いい音がするということで絹糸にしました。
−−楽器を考案する上で一番苦労された点は?
最初の4年間くらいは弦をランダムに弾いてその音色を楽しむ楽器だったんです。でも次第に見ている人から「曲を弾いて欲しい」というリクエストが寄せられるようになって、そこで今のようにメロディが弾ける形にしたんです。ところが原理的にはわかっていても、メロディが弾けるようピッチを安定させるのが難しくて、かなり苦労しました。 |