家政婦は見た。ぞんぶんに見た。
かっぽうぎを着込んでドア1枚へだてるだけで、ずいぶん町の景色が変わってしまった。ただの公園がスリルとサスペンスに早変わりだ。
人が通りがかるたびに、「あの人は愛人を囲っているんじゃないか」「あの人は政治家にお金を渡しているんじゃないか」、そんなふうに思ってしまう。妄想はどんどんひどくなる一方だ。
しかしあの家政婦さん、大丈夫だろうか。ドラマで起きているあの事件、実は全部妄想なのでは。あんなふうにドアの影からのぞいているから、存在しない「衝撃の秘密」や、ありえない「政界の裏」が見えてしまっているんじゃないだろうか。他人事ながらちょっと心配になってきた。
でも大丈夫。ご安心ください。あれはドラマだ。フィクションなんだ。あの家政婦さんも実在しません。よかった!ばんざーい!
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向かって左の人は運動神経が悪いのでポーズが決まらない |
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