限りある玉子だからこその魅力
寿司を食べたあとに、あえて玉子を入れ替えたりせずにそのまま使いまわすことにした。そのほうがすき焼きっぽいからである。
すき焼きのもうひとつの醍醐味は、さまざまな食材を玉子に漬けるために玉子がだんだんうまくなってくるところだろう。たまごがいろんな汁を吸ってうまくなっていく。これは居酒屋の小皿にも同じことが言える。
だけど、ダシが染みておいしくなっていく茶碗の中の玉子は、ある瞬間から飽和状態を越え、とたんに濃くてしつこい味になっていく。いつまでもおいしさが持続するわけではないからこそ、限りあるたまごだからこそ、僕らはその隙間を楽しんでいるわけだ。すき焼きの玉子が愛されるのは、「いつまでもおいしいわけじゃない」という刹那を抱えているからかもしれない。
てんぷらmeetsすき焼き玉
かつて坂本九の名曲「上を向いて歩こう」が海外で「スキヤキ」と名づけられたとおり、スキヤキと言えば海外でも通じる日本を代表する料理であろう。そして寿司。こちらも日本を代表する料理だ。
寿司、すき焼き。そしてもうひとつの日本代表といえば、そう、てんぷらだ。てんぷらもすき焼き玉子に浸してみた。 |