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ひらめきの月曜日
 
つけ汁をもとめて

ラーメンの1ジャンルとして確立されている感のある つけ麺。ラーメン文化には疎い私も何度か知人について人気だという店で食べたことがある。かなり浸透しているようだ。

つけ麺、うまい。

つけ汁のあの ザ・うまい汁ぶりはなんだろう。 そして、そのうまい汁に麺がダイレクトにからむ。うまい汁と炭水化物。うなずかずにはいられない。

で、思ったのだ。つけ麺のつけ汁以外にも、世の中にはたくさんのうまい汁がある。そんな汁に麺をひたせないかと。

うまい汁を求め旅に出た。そして、思わぬ懐かしさと出会うことになった。

(text by 古賀及子



旅の準備を整える

世の中のうまい汁をひたすら麺にからませたい。

それが今回のたくらみだ。汁を買っては麺をつけて食べる。その実現にはいろいろとクリアしなければならないポイントがあるかと思う。

ポイント1:汁が冷めないうちに食べなければならない
ポイント2:店内で持参の麺を取り出すことははばかられる

これらを解決するため、今回用意したのがこの2点だ。

・つける麺
・画板

麺は当然、汁をつけて食べるための麺。特にこだわらず、普通に売っている麺を用意した。主役はあくまでうまい汁だ。


麺は家庭用に販売されているなま麺を用意した。とはいえ、つけ麺専用。家庭にもつけ麺の波が押し寄せているようだ 茹でて水でしめ、お弁当箱(というか、タッパーですな)に入れて麺は準備完了

そして画板。汁を熱い状態で食べるにはできるだけ購入直後に食べたい。画板は即席テーブルというわけだ。これでどんな場所でも食べられる。すごいぞ、画板。


スタイルはこんな感じ ここにうまい汁が乗るわけです

最初のターゲットは、スープ専門店

旅の準備は整った。どっからでもかかってこいうまい汁。

勇んで最初に飛び込んだのは、ここ何年かでそこここに急にみかけるようになったおしゃれなスープのお店だ。

何種類かのチェーンやデパ地下系の店があるようだが、今回は多店舗展開が進んでいるスープストックトーキョーへ上陸することにした。

「スープストックトーキョー」という文字を見ると、私の中では「うまい汁専門店」と和訳される。そんな店だ。

ごめんくださーい。うまい汁、くーださい。


お昼時で女性がたくさん集まっていた 具がいっぱい入っているスープがぞろぞろ並ぶ

いざ、つけ麺

お昼時とあって店内は混雑しており、テイクアウト・イートインともに大繁盛という感じであった。

6種類あったスープの中から、具よりも液体で勝負をしている風情の「オマール海老とわたり蟹のスープ」をオーダー。セットメニューにするとパンかご飯がつくらしく、店員さんにそう聞かれた。

「パンかご飯とドリンクが付くセットメニューもございますが」
「いえ、麺を持ってますので」

頭の中ではキッパリ答え、けれど口では「あ、単品で大丈夫です」とごにょごにょ言って受け取った。

ささ、早速麺をつけてみよう!


海老と蟹のエキスがつまっている汁! よしゃー

……。

撮影から戻って、いま写真を整理している。右上の写真の顔があんまりこわばっているので正直うろたえた。

そうなのだ。スープが冷めないうちに早く食べよう! と画板と麺を道端で取り出し準備したのだが、人通りのやや多い場所で、風も強かったためどうにも食べ出せなかったのである。1人だったため写真は3脚を立てて撮影したのだが、こんな顔をしていたとは。

こちらの話ですみません。つけ汁めぐりをしているからにはこういうこともあるのだということがしょっぱなから分かった。いくらスープは熱々でも、落ち着いて食べることを人は本能で優先するのだ。

次の汁どころへ

次に行こうと思っているネオ屋台村に落ち着いて食べられるスペースがあるらしいので、蟹と海老の汁もそこまでおあずけにしよう。


エスニック系の屋台がたくさん集まっているネオ屋台村へ お目当てはタイ風の料理をそろえる「アジアンランチ」さん

ネオ屋台村は、7台前後のバンの屋台が並ぶランチどきだけの商店街。エスニック系の屋台がならぶ。

辛さを武器に汁業界で幅をきかすエスニック。汁がお好きな方にとってもその存在はいまや無視できないところだと思う。

さて、そんな屋台のひとつ、「アジアンランチ」ではごはんに惣菜3品をトッピングするお弁当がレギュラーメニューだが「ご飯は自分で持ってくるという方のために」おかずだけの購入も可能だ。

当然、麺は自分で持ってくる私にもぴったりだ。わーい、うまい汁、ください。


惣菜とは別に冬季限定でトムヤムスープがあったのでゲット 惣菜からは最も汁っ気の多かったキーマカレーを

では、先ほどのように画板と麺を用意して、いざ。


あれ

ここで新たなトラブルが。

ゆでて持参した麺がくっついてしまうことはある程度予想していたのだが、予想を上回って麺がほぐれないのだ。

困ったなあ、無理に分割して汁の中でほぐすか。あれ、この感覚、どこかで覚えがあるぞ。


この強固にほぐれない麺には身に覚えが・・・

ソフト麺じゃん

そうだ、これ給食のソフト麺だ!

麺と麺がくっついて、食べるときにどうしても短くぷちぷち切れてしまう麺。それをまったりした汁につけるって、ソフト麺そのものではないか。しかも私の通っていた小学校の給食には うどんと中華麺の2種類のソフト麺があった。私は圧倒的に中華麺が好きだったっけ。

懐かしがりながら麺を強引にちぎって汁に投入した。

※給食体験上ソフト麺に馴染みのない方も多いかと思います。以後ソフト麺についての記述が増え恐縮ですが、感極まってのこととどうぞ見逃してください。(検索:ソフト麺


スープストックトーキョー
オマール海老とわたり蟹のスープ 610円

こってり、もったり汁が麺にからみつく。海老なのか蟹なのか、出汁の感じがすごい。ふかく濃い味。美味しい。とことん美味しい。

そうして、麺だ。食べてまた驚いた。味が完全に「味噌ラーメン」のときに出てきた中華風ソフト麺そのものだったのだ。

もそもそしたやや冷たい麺とあたたかい汁が懐かしくマッチする。懐かしい。


アジアンランチ トムヤムクンスープ 200円

トムヤムクンスープは好きでよく食べる(飲む)。ここのスープは甘みの強いタイプだった。その甘い汁がぽそっとした麺にからむ。トムヤムクンラーメンというと、米麺が普通だが、なんだ、中華麺でもいいのか。


アジアンランチ キーマカレー 250円

だめだ、どうしても感想がソフト麺よりになってしまう。この見た目はミートソース+ソフト麺という、私の経験した定番給食メニューにそっくりなのだ。

味は当然キーマカレーでミートソースとは違うのだが、見た目にうっとしりた。

ごろごろ入っているジャガイモが美味しい。ちぎれた麺がひき肉と一体になる。美味しい。


つけ汁の旅イコール ソフト麺追体験?

なんだかすっかりソフト麺を回顧するばかりになってしまった。私は大満足で、きっと給食時代にソフト麺を食べていた方にもこの味はたまらないと思う。胸を張っておすすめしたい。

じゃあ、ソフト麺を食べたことがない人にとってはどうだろう。もしかして、そんなに美味しく感じないだろうか。


この、麺がこってりした汁にしずむ様子はまさにソフト麺

うーん、どうしよう。

そうだ、汁をもっともっと高級にすれば、ソフト麺ぽさもなくなるのではないか。海老と蟹のスープも高級感はあったが見た目が給食のスープみたいなのがいけなかった。

見た目も味も高級な汁につけてみよう!

つけ汁の旅、強引に続けます。


麺は全部食べちゃったので、ここからは替え玉で

デパ地下の高級汁

そういうことなら行くべきはやはり高級惣菜のるつぼ、デパ地下だろう。たまに惣菜を買おうとしてその値段に驚くデパ地下。

サラダ100gでえらい値段する。あまり汁を売っているイメージはないが、探してみたらありました。


そびえる松屋 銀座 銀座アスターのデリカショップでふかひれのスープを発見!

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