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土曜ワイド工場
 
旅先でポエムを詠む

化粧坂切り通し


円覚寺見学のあとは大仏ハイキングコースに入り、化粧(けわい)坂切り通しを目指す。 ハイキングという楽しげな名前に油断していたのだが、これが思いのほか険しく、完全に山道であった。

ちなみに切り通しとは、山を切り開いて作った、鎌倉の出入り口となる道のことだ。化粧坂は鎌倉七切通しのひとつで、藤沢から武蔵方面に通じる重要な道であったといわれる。


疲れが2倍に!

化粧坂の思い出

大仏ハイキングコース、これが曲者だった。ピクニック程度の散歩道を想像していたのだが、実は思いのほか険しい山道。しかも学生は金がないと言い張って無理に昼飯を抜いたものだから体力の消耗が激しい。 とはいえ、そんな困難すらも楽しめてしまうのが、旅気分というものだ。「人が休んでいるうちに全速力で駆け出し、置き去りにする」「人が景色を見ているうちにみんなで隠れる」等の中学生レベルのふざけあいをしつつ、ゲラゲラ笑いながら登る。 ふざけると山道が異常にきつくなる。「ふざけは疲れが2倍になるぞ!」という戒めの言葉が流行したのだが、言ってるそばから全力ダッシュが行われるのだ。


さわぐな!

身も心もすっかり中学生になってきたところで、化粧坂近くの神社でおみくじを発見。今回の旅がいい旅になりますように。さて結果は…『旅行 さわぐな』。まさに。ちなみに相場に関しては「売れ 持てば損」。

おみくじを引いていてふと横を見ると、この日始めてカメラを構えた藤原さんの姿が。果たしてレンズの向こうに何が、と思って見てみると、ただの猫だった。 えっ、猫?と思い本人に直接聞いてみたところ、「『猫が寝転んだ』ところの写真を撮りたかった」らしい。死ねばいいのにと思ったが、大人なので口に出さなかった。

こういったこまごましたこともポエムに盛り込めるとうれしい。とはいえ、せっかくの旅行ポエム。自分の気持ちを素直に出せるのが一番だろう。

ちなみに化粧坂はただの坂道。とくに楽しいものではないのでふざけて上ったり下ったりを繰り返すといたずらに体力を消耗するばかり。総じてハイキングコースとふざけとの相性は悪い。


果たしてレンズの向こうには!
かわいいリスの動画(音は出ない)

化粧坂は古めかしい坂道

 

 

転倒

こどもはよく転ぶ

我々はあまり転ばない

何故か?

子供は前を向いて歩き

我々は下を向いて歩くからである

しかしその為に

我々はもっと

漠然としたものに

つまづくようになってしまったのでは

ないだろうか

2007.2.12

 

自分のポエムを他人に読み上げられている人の動きを動画で(音は出ない)

今回の優秀作品は藤原さん。藤原さんは自分の詩を朗読されてもあまりクネクネしない。しかしよく見ると微妙だが体が動いている。やはり恥ずかしいのだろう。
何か良いことを言ってそうな詩もすてきだ。藤原さんは詩を作る前にヘッセの詩集を読んでいた。それがこの「我々は」といったような大上段の構えを生み出し、良いこと言ってる風のポエムになったのだろう。そしてこの「良いこと言ったった」感はそのまま恥ずかしさとなって返ってくるのだからバカだ。しかしこのバカさ加減がポエムが喚起する力に他ならない。読み返して「ああ…」と吐息がもれてしまうくらいの恥ずかしい詩こそが我々が求めていたものだ。バカですごいぞ藤原さん。
ところでまた日付を間違えている。撮影日は11日だ。

 

 

銭洗い弁財天


ひきつづき大仏ハイキングコースの山道を進むと、銭洗い弁財天に着く。ハイキングコースに入る前にお昼を食べておかなかったため、空腹を抱えながら到着。

銭洗い弁財天は源頼朝が夢のお告げを受けて建立したというが、お金を洗うことを始めたのは北条時頼であるようだ。ここには銭洗い場があり、お金を洗うと何倍にも増えるという言い伝えがあるらしい。小学生が嬉々としてお金を洗っていた。


洗い場も写らないのにガイドブックを見せて!

銭洗い弁天の思い出

お金を増やしてあげるよ、と言われればもちろん増やして欲しい。お金が増えて、旅気分までゲットできるならなおさらのことだ。

さっそく3人でお金を洗おうとするが、参加者のうち誰一人としてハンカチを持っていないことに気づき、「濡れるのもいやだし…」という現代っ子っぷりを発揮して断念。みすみす目の前で億万長者の夢を途絶えさせてしまった。旅情成金への道は意外と険しかったのだ。
横では小学生たちがキャッキャッと言いながらお金を洗っていて妬ましかった。ハンカチを忘れない心と水に濡れるのをおっくうがらない心、そのどちらかが欲しい。なんなら金はいらん。

 


ろうそくと藤原さん!

「コレ、現代のお金」と嬉々としてクレジットカードを洗うおばちゃんを発見。
うまいこと言った感じだが、クレジットカードが何倍に増えてもあんまりうれしくないぞ。カードがたくさんあっても財布の中で邪魔になるだけではないのか。

またここでもリスが。今回はお地蔵さまの頭の上に。今日一体何匹見たのだろう、奈良の鹿のように鎌倉のリスも有名なのだろうか。丸々と重量感あって人なつっこいリス。大北は『恋人たちのリス鍋』という非常に良い歌を藤原さんに歌ってあげていた。

この弁財天、かなりの人手だった。ちょっとしたイベントがある観光地はやはり楽しいので、ハンカチを忘れず携えて訪れてみてはどうだろう。


大賑わい!
リスが!

 

石段に一列に並んでポエムを書きます

 

おかねをあらう

地上に降りそそぐ雨が

川となり

海となり

やがて蒸発し

雲となり

また雨となって降りそそぐ

財布のお金は使われて

お店のレジに入り

銀行の金庫に入り

やがてまた払い出されて

誰かの財布に入る

水は循環している

お金も循環している

お互い出会うこともなく

循環していた2つのサイクルが

唯一交わる場所が

ここにあった。

07.2.12 銭洗弁財天にて

 

ポエムを他人に読み上げられている人の動画(音は出ない)

今回の優秀作品はざんはわ石川。ここでも「うまいこと言ったった」感が恥ずかしさに跳ね返ってきている。藤原さんのときとうってかわって、朗読中はクネクネ放題モジモジ放題だ。やはり年を重ねるほどこういった青臭いことが体に合わなくなるのかもしれない。
3回目にもなるとポエムを書くのにもだいぶ慣れてきて、あまり照れずに書けるようになった。しかし朗読となると話は別だ。顔が真っ赤になり、足をバタバタさせずにはいられない。これも想い出のためか…。

ちなみにここでも日付を間違えているみたいだ。

 

 

 
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