ハウツー除幕式 中級編
空き地があった。除幕式の向こうになにもなかったらどうだろう。無を除幕するのだ。幕を掛けることで「ない」ことを際立たせる試みである。
はやくも除幕式の根幹を揺るがすアヴァンギャルドなアイデアにホクホク顔で準備を始めると…。
向かいの駐車場の金網に勝手に洗濯物を干してるみたいである。これじゃセレモニーのはずが男おいどんだ。心の赤じゅうたんがくるくる巻き取られてゆく。西日がいけないのか。幕をかける対象が薄いのがいけないのか。
わかったこと4:薄いものにかけると洗濯ものになる
さて、続いての除幕式ノウハウは基本にかえって幕のかけ方である。
裏面まで幕をしっかりかけてしまったのが原因であった。ロープをひっぱったときにするすると幕が落ちなければならないので、外れやすいようにかけておくことが必要である。図解するとこうだ。
わかったこと5:ほどほどに適当にかけろ
いちど失敗した除幕式はいっそう甘美な輝きを放つ。待望の自転車置き場である。
除幕式の準備は幕をかけることだが、ただ幕をかけることにあらず。禅問答のようである。
次のレッスンは低いものの除幕式の可能性である。この写真を見ていただきたい。
そうなのだ。低いものは除幕式に向いていない。除幕式のロープがペットをつないでいるロープのように見えてしまう。除幕式の限界を見た瞬間である。
わかったこと6:低いものにかけるとセレブ感がない
公園に唐突に現れたなすの存在感は除幕ってみたくなるが、除幕式は万能ではない。除幕式を多用しない勇気も必要である。高卒ルーキーを毎試合なげさせて肩を壊してはもともこもない。
これはたとえ話のようであるが野球の話でしかない。そして止まらなくなったレッスンは続く。