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はっけんの水曜日
 
ささいな中野案内

 

一件目の不動産屋の、一件目に見た物件に引っ越してしまったのが、8年ほど前。
埼玉の実家から都内まで、通勤に片道2時間弱かけて通っていたのだけれど、徹夜仕事明けのとき、接続の悪い始発で帰るのが、めんどうで、しんどくて、せつなくて。
いろんな意味で、どーしても家を出なきゃいかん! と唐突に思って飛び込んだ不動産屋で、安い部屋を紹介してもらったら、中野区のアパートだった…のです。
位置的に便利だったし。思い入れなく、なりゆきで、なんとなく。
で、中野をうろちょろしているうちに、町のことも、好きになってきました。

この春、進学やら就職で、上京するかたも多いと思います。
そこで、うっかり中野に住んでしまう人に向けて、雑誌やテレビでも取り上げられない、地味〜な生活情報をお知らせします。
住まないかたも、うっかり用事があった際、ご活用ください。

(text by 大塚 幸代



■夏はやってない、一等地の店

まずは中野駅を降りて、いちばん栄えてる、北口の商店街に行きましょう。商店街の入り口右側に、大判焼き屋があります。めちゃくちゃ安い! とか、めちゃくちゃ美味! というわけではないんですが、味の種類が多いのと、一等地にあるせいで、常に人が並んでおります。ここでお勧めなのは、「マヨネーズソーセージ」120円。でかいソーセージを輪切りにしたものとマヨが、入っています。急いでるときはコレ買って、駅のホームで食べて、1食済ませるという技もあります。コーヒー牛乳とよく合います。
実はこの店、夏は暑くてイヤなのか、シャッターが閉まって休業してしまいます。期間限定の店なのです。じゃあ夏は冷たいもの売ればいいのに、とか思うんですけどね、なぜなんでしょう。一等地なのに。

 

■みょうに量が多い安い八百屋さん

商店街の中を入っていきましょう。マツキヨ、ユニクロ、ドトールなど、普通に大きいチェーン店があるところを通り抜け、スズタン(女性用洋品店)の向かいの路地に入っていくと、突然八百屋があります。ここのサービス品は、妙に量が多くて安い。一人暮らしでは、こんなに食べきれません、という程山盛りだったりします。このへんの飲食店の、仕入れに使われてる店なのかもしれません。あ、中野区、杉並区は、スーパーよりもこういった八百屋さんの野菜のほうが、圧倒的に安いです。なぜかは知らない。

 

■子供NGの喫茶店

商店街を歩き続けていると、左側に、コドモ用キャラクター食器を売ってるワゴンがあります。そこの隣の路地をぬけると、ケーキとコーヒーの美味しい喫茶店があります。大変落ち着いた感じのお店なので、ゆっくり人と話すのには良いです。密談向き。ただし子供は入店NGなので注意。

 

■3つの激安洋品店

そのまま商店街を突き抜けて、有名なマニアビル、「中野ブロートウェイ」1階まで行ってください。やっぱり有名な激安用品店「らこっと」が、3店舗ほどあります。服は210円から。「無料でーす!」といって服を配っていたこともあるという、おそろしい店です。その時もらったTシャツを意外にも気にいってしまい、昨年着ました。その事実に、ちょっと落ち込んだりもしましたが。
基本的には、地元女性でいつもいっぱいの店なのですが、たまに「服飾専門学校生」っぽいかたが、「改造前のベースを、安く探すぞー!」と意気込んで買い物に来てたりもします。
私も掘り出しものを探すため、いつも覗いています。しかし買っても着ない服、多いです。安いからって冒険しすぎちゃうんですね、ピンクのジャケット買っちゃったりとか。うーん、センスを鍛えなければいけません。

 

■3階直通エスカレータへ

1階からは、3階までの直通エスカレーターがあります。上がると、この、まんが専門店「まんだらけ」の、古書買い取りカウンターの横に出ます。要らなくなったマンガは、ここで処分しましょう。カヴァーが折れ曲がったりしてるやつは買い取ってくれませんが、バーコードで在庫管理してるので、かなり適正価格で買ってくれます。売るときは身分証明書をお忘れなく。ちなみにここで買いとりNGだったものを、早稲田通りぞいのブックオフまで持っていくと、買ってくれることが多いので、諦めずにハシゴしてもよろしいかと……。貧乏くさい話で済みません。

同フロアにある中古CD屋さんが「レコミンツ」。常設で店頭ワゴンセールをしています。連休前後には「5枚1000円」と、もうちょっと安くなります。たまに「えー!」っちゅーくらいの、掘り出し物があります。私はこのワゴンセールが大好きで、買いすぎて、ちゃんと聴いてないCDが山盛り、みたいな状況なので、買うのをセーブしています…。中野駅そばは、こういった中古CD屋さんは数件あるんですが、新譜を専門に扱ってるCD屋がなく(ツタヤはあるけど)、新宿あたりに出ないとゲット出来ません。これ残念。

 

■いわるゆオタクカルチャーもの

ほか、2〜4階には、マニアショップ色々。普通に見てて飽きません。とくに今は、カップルや、外人観光客が来てるのを、よく見かけます。『電車男』ブーム以降、秋葉原同様、観光地化されているみたいです。ただ眺めるだけなら楽しいんですが、はまって買い出すと大変なことになるので注意。あと、店の入れ替わりが結構激しく、いつのまにか無くなる店も多々あります。私のお気に入りだった、ブライス系人形屋さんも、アジアンポップスCD屋さんも消えてしまいました…。賃貸料が高いのかもしれません。

 

■2階にある食堂ゾーン

実は2階に食堂ゾーンがあります。フィギュアなどを売ってるゾーンから移動して、お好み焼きやフライの匂いをかぐと、ちょっとドキドキします。女子ひとりで入るのはちょっと躊躇する感じの店構えのところが多く、私はじねんじょの山かけゴハンの店(記事「せいをつけに行く」参照)しか入ったことがありません。菜食台湾料理を出す「香林坊」ってお店には、一度行きたいんですけどねえ。今度誰か、一緒に行ってください。

 

■地下ではジャーブラ戦争勃発中

さあ、地階まで降りていきましょう。服飾、雑貨、食品の店などの店が詰まっております。世間的にいちばん有名なのは「デイリーチコ」という、超でかいソフトクリームの店だと思うのですが(記事「ひとりソフトクリーム満喫」参照)、私が個人的に「今、アツい!」と思ってるのは、向かい合った2件の下着屋。上下セットで500円という破格の店が登場したあと、昔からあった店が450円に値下げ断行! で、今回見たら350円にまで下がっておりました。しかしこう、下着って、あんまり安すぎても、買う気がしなくなる気がするんですが。どうでしょう。男子側としても、「350円の下着を着てる女の子」ってどうなんでしょう。問題は中身でしょうか。
他にも、「韓国式に安くメガネが作れる店、東大門」が、都内でいち早く出来たのも、このフロアでした。私もメガネ、作りましたですよ。トミフェブみたいなやつ。

 

■新店舗は激安アクセサリー屋

そういえばこの下着屋そばに、新しい店が、知らないうちに出来ていました。アジアから仕入れてきたっぽい、チープでキッチュなアクセ屋。なのに名前が「ニューヨークガールズアクセサリー」。うーん、動向を見守りたいお店です。

普通におすすめなのは、1件だけある総合雑貨屋。食器やインテリアなどを売ってます。なにげにハイセンスかつ良心的なお店で、この店で売ってたものと同じものが、青山の雑貨屋で3倍価格で売ってた、ということもあります。潰れないでくれ! と、いつも願いながら、小さい買い物などをしています。今売ってるものの中で、いちばん萌えアイテムなのは「飾りボタン」。シートの紙も可愛いくて、見てて気絶しそうになります。

 

■忘れてはならない肉屋

あと、いつも私がブロードウェイに行くと買うのが、この肉店「玉屋」。とにかく安い。普通のスーパーの半額〜3分の2くらい、安いんじゃないでしょうか。部位の種類も、いろいろとあります。私は時々思い切って、ステーキ肉を買って、焼いて食べたりします。プチ・ゴージャス!

 

■早稲田通りぞいの回転寿司

ブロードウェイを出て、地上まで上がりましょう。早稲田通りを渡るとあるのが、回転寿司大江戸。チェーン店ですが、休日になると、お客さんが待ち入るくらいの人気店…だったのですが、均一値段だったのが、ちょこっと値上げしたせいか、空くようになりました。お客ってシビア。私は3〜4皿+あら汁くらいしか食べないので、行き続けておりますが。

 

■キャバクラのある裏通り

早稲田通りにぶつかったら、折り返して、ふたたび中野駅に戻りましょう。今度はブロードウェイの中ではなく、新宿寄りの、裏通りを通ります。この通りは、有名なラーメン屋「青葉」などもあるラーメン激戦区なんですが、キャバクラも激戦区。夜歩くと客引きのお兄さんでいっぱいです。わたくしは女なので何も言われません。というか、夜歩くときは、人がいない場所より人のいる場所のほうが安全なので、こっちの通りを歩いたほうがいいかもしれません。

 

■深夜までやってる中華屋

ここは、私が会社員のとき、深夜ひとりで、半泣きになりながら、シンハービールと定食を、よく食べてたお店「泰陽飯店」。25時まで営業してます。行くと8割の確率で、テレサ・テンがかかっています。今回もテレサ・テンがクワタバンドをカヴァーした、「クリスマス・イン・サマー」がかかっておりました。店の雰囲気がダラーンとしていて、落ち着きます。卵とトマトの炒めものを久々に食べたんですが、前はすごく美味しかったのに、今回は妙に味が濃くて…うーん、料理人が変わってしまったのかもしれない。いや、酒には合うのかもしれません。そういえば向かいにある焼き肉屋で、「ひとり焼き肉デビュー」もしましたっけ。
この裏道をまっすぐ行くと、線路に突き当たるところで、「カルマ」という名前のカフェがあります。カレーが美味しいので有名な、お洒落な店なんですが…裏通りのどんずまり、まさにカルマ。中野らしい名前です

 

■南口情報も少々

南口、実はほとんど行ったことがないのです。その筋では有名な、量の多い定食屋「タブチ」も前を通りかかったことしかないし、丸井も閉店しちゃったし(今はアウトレットコーナーだけ営業中)、佐世保バーガーも移転して、跡にカフェが出来ちゃったし。でもPAPERAというインドカレー屋はバイキングをやっていて、普通にうまいです。インドカレー食べたいときは是非。

あとは、南口には、でかい中央図書館があります。雑誌なんかもたくさんあるので、マンガ喫茶並に、かなり楽しめます。まだあんまり売れてなかった時代、中野在住だった椎名林檎さんも、ここに来てたとの噂。
私は書店で売ってない『翼の王国』(ANA機内誌)をチェックしに通っております。
図書館の隣では、ダンスチームの若者が、年がら年中、踊っています。雑誌『エッグ』を見て知ったんですけれど、ここは有名なダンス練習スポットらしいですよ。

■中野はかなり、普通に楽しい街です

……で、実はお酒を飲むときは、新宿とかに出ちゃうので、中野の飲み屋は知りません。きっと素敵な店、あるんでしょうが…。
他にも私が知らない中野が、いっぱいあると思うんですが、歩き回ってるうち、また何かと出くわすでしょう。
というか実は、いいかげん、別の街に住みたくなってきたんですけども。
いつかサヨナラする中野で、しばらく遊んでいたいと思いますです、はい。


 
 
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