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ひらめきの月曜日
 
古本目利き3本勝負
本屋って、ワクワクしすぎておなかが痛くなることありませんか。

先日の記事で、近所の古本屋さんに取材させていただいたところ、私のまわりで「古本屋めぐりをしたい!」ブームが勃発。

「どうせ行くならみんなで行こうか」

「みんなで行くなら、誰がいい本を探せるか競おうか」

「競うなら、誰かにジャッジしてもらうか」

…ということで、古本屋の店長さんまで巻き込んで、我々の「古本目利き勝負」が幕を開けてしまいました。

(text by 加藤 和美



■ルールと参加者紹介

今回の「古本目利き勝負」のルールは以下の通り。


ルール

  • 3軒の古本屋をめぐって、良さそうな本を探し、購入する。
  • 買って良い値段は1冊105円まで。それ以上の値段の本は買ってはいけない。
  • マンガ不可。ただしマンガネタの本や、一部マンガは可。
  • 最終的に1人3冊、勝負に出す本を決める。
  • 勝負方法は、1ラウンドにつき1人1冊本を出して紹介する。3ラウンド戦い、その中から最も「古本目利きのセンスがある人」を決め、勝者とする。
  • ジャッジは古書店「古本 浪漫堂」の店長。
  • 判定にジャッジ(店長)の趣味が反映されてもやむなし。
  • むしろ店長に本の魅力をプレゼンテーションすることで、評価を上げるのは可。

このようなルールで勝負することになった。
最大のポイントは、「買っていいのは105円まで」ということ。
高い本は、古本でもそれなりに高い。
高い本を高値で買っても、目利きのセンスがあるとは言えない。
むしろ、105円という安値で売っている本から、キラリと光る本を探してこその目利き王(キング)である。

または、その本に対して熱く語ることで、ジャッジ(浪漫堂の店長)のハートをキャッチして、高評価を得るのもアリである。
前回の取材で、店長は「気持ちがこもってるから」という理由で値段を上げていた。
自分が買ってきた本を紹介する際に、本へ愛が店長に伝わるかどうかが勝敗を分けるとも言える。

参加者は、以下の物好きな3人が立ち上がった!


エントリーナンバー1:加藤

わりと本好き。得意ジャンルは妖怪と学級文庫。
意気込みは「勝っても何かもらえるわけではないので、好きな本を探したい」

エントリーナンバー2:Bさん

かなりの本好き。得意ジャンルはサブカルチャー系。
意気込みは「審判(店長)と趣味が似ているので、勝てるんじゃないか」

エントリーナンバー3:Yさん

本好きというわけではないが興味本位で参戦。得意ジャンルは音楽。
意気込みは「変な本でもプレゼンテーションで勝ちたい」

 

1軒目、札幌市北区にあるお店へ。この時は105円の本がどのくらいあるのか不安だった。

■そして3人は古書店へ向かった

3人で3軒の大型古書店をめぐり、それぞれに「これだ!」という本を購入することに。

「105円以下」という条件なので、お店に行く前は「その条件でいい本見つかるかな〜」と不安だったが、いざ行ってみると、105円の本があるわあるわ。

参加者は1人3冊まで、目利き勝負に出す本をそろえなければいけない。
面白そうな本がたくさん売っているのはいいが、果たしてどれを出せば勝てるのか?

予想外に駆け引きの要素が加わり、「目利き勝負」の本探しがスタートした。

2軒目、東区にあるお店。1軒目であまり買えなかった人がすがる気持ちで移動。
3軒目、同じく東区のお店。ある程度手札(本)がそろってきたので、「ここでトドメだ!」という気持ち。

 

■自分の感性を信じて本を決める

今回は、市内でも規模の大きなお店を選んで行ってみた。

古本屋に着くなり、散開する3人。
購入は早い者勝ちなので、ライバルより先に良い本を見つけなければならない。

「小説でいくか!?」
「雑誌でいくか!?」
「実用書でいくか!?」

予想以上に105円の本が多かったので、種類の豊富さにとにかく迷う。

「わりと本好き」と言っている私でも、ふだんは古本屋の隅々まで見回っているわけではなく、自分の好きな小説の棚を探すくらい。

「何か価値のある本はないか!?」という視点で店内を探しまわるというのはまた新鮮で、いつもなら手に取らないような本にまで手が伸びる。

しばらくすると、各自が「勝負に出す本」以外に「個人的に欲しい本」まで手にしている始末。

ああ、やっぱり本屋さんは楽しいなあー。
しかも今回は1冊105円である。
新書なら1000円を越す本でも、105円。
そう思うと自然とサイフのヒモが緩む。

本探しスタート!他の人がどんな本を買おうとしているのか、ちょっと気になる。
「見ないでよ!」と、自分が買おうとしている本を隠すケチな参加者。
「この棚に何かあるのか!?」静かな店内に緊張が走る。 辞書が105円だと、何でもかんでも欲しくなる。こういう図鑑も大好き。これでも105円。
15年前のヘアカタログ。ある意味とても参考になった。 長時間「座り読み」をしていたら、立ちくらみが…。

 

■勝負に出す本をセレクト!

このように3軒の古本屋をめぐって、良さそうな本を購入。

それなりに手札(本)はそろったが、これから「勝負に出す3冊の本」を選ばなければならない。

3人とも自信のある本ばかりではなく、「正直、この本はどうなんだ?」という微妙な本もあるため、ここで多いに悩む。

また、自分が買ってきた本を、どれだけ良い本なのか紹介するため、どういう風にプレゼンテーションするのかも考えなければいけない。

もし自分が出した本に興味を示してもらえなかった場合でも、きちんと魅力を伝えられれば勝てる可能性がある。
「本選びのセンス」以外にも、「本への愛情」が試されるのだ。
なんて言うと大げさか。

ライバルがどんな本を勝負に出してくるのかも非常に気になる。
他の人が買った本を横目で見ながら、各自3冊の本を選んで、勝負の場へ向かった。

「どの本を出せば勝てるのか?」と考えながら本を選ぶ。
後で冷静になると、「何でコレ買ったんだ?」という本も…。

 

■勝負の場はこちら

3人が向かったのは、前述の古書店、「古本 浪漫堂」。
この中で誰が一番古本目利きのセンスがあるかどうかは、店長の白樫さんに判断してもらう。

なお補足しておくと、「本選びのセンス」はすべて店長の判断によるものであり、店長の趣味に偏りが見受けられるとしても、その点はご容赦いただきたい。

自分の趣味まるだしで、あーだこーだと語り合うのも、本の楽しさのひとつということで。


またお世話になります、浪漫堂さん。 こちらが店長。企画を持ちかけた際、店長が「俺も参戦したい」と言い出したが却下された。

本の並ぶ店内にテーブルを引っ張り出し、各自が席につく。

「古本目利き勝負」の始まりだ!


 

 
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