顔ジャケがやばい理由
楽しすぎる試食会の雰囲気に飲まれてのんのんしてしまったが、そうだ、顔ジャケラーメンについて聞きたいことが山とあるのだった。すみません、永井さーん。
試食会にはコレクションのファイルもあって、参加者が自由に見られるようになっている。私も見ながらお話を聞かせてもらった。あの、そもそもなんで顔ジャケラーメンを集め始めたんですか?
「きっかけになったジャケットがあるんです(写真1)。すごいでしょう、これ。食べ物のパッケージなのに、美味しそう! っていう写真じゃない。別のインパクトで押してる。
野菜や果物で生産者の名前と顔を載せようって動きありますよね。野菜だったら安全性の確認とかちゃんとした意味があるけど、カップ麺ってそこまで店主が露出する必要が見えないというか。そもそも相当のラーメン好きでないと知らない店主もどんどん出てきてるんです。一般的には“知らない人の顔”がカップ麺のラベルに載ってるって状況なんですよ。
知らないおっさんって食欲そそらないですよね。もうラーメンのシズル感とかどうでもよくなってる。なんだろう? この違和感…これはヤバイぞ、集めると面白くなるぞって思ったんです。
作り手の写真がちゃんとデザインされた状態で載ってるってレコードですよね。ほとんどレコジャケ感覚で集めてます」
現在のコレクションは100枚強。永井さんとしてはまだまだ少なく、本当は試食会をやったり取材を受ける段階ではないと恐縮していた。いやいや、100枚は壮観ですって。
顔ジャケ、時代の流れ
永井さんが恐縮する理由はもう一つあった。
「僕が集め始めたのは第2次顔ジャケブームの頃からで、それ以降のものは全部あります。でも、第1次ブームのころのがないんですよね……。
でも今日の試食会で、大リーグカードのコレクターで有名なお友達が第1次のを4枚くださったんですよ! これは、と思ってとっておいたそうなんです。いや、もうありがたくて。試食会やってよかったなと心底思いました」
大リーグとカップ麺はかなり遠いような気がするが、コレクターの間だけで分かるなにか「これはコレクション対象になりそうだ」というにおいのようなものがあるんだろうか。
それにしても、第1次、第2次って、なんだろう。
「第1次は出始めのころ、まだ有名店や有名人しか顔出しできなかった感じですね。第2次になると顔写真がデザインの中心になったりバリエーションが出てくる。ラーメン店主だけじゃなく、料理長的な人が出てきたりするのもこの時期です。
この2次の末期には“佐野バブル”っていうのがあってですね、「支那そばや」の店主、佐野実がもう出るわ出るわって時期がありました。カップ麺だけじゃなく、“佐野実絶賛!”っていうのもあったり、5個入りの袋麺なんかにも出たりして。顔ジャケがファミリーサイズにまで進出したんです。
で、第3次が現在です。とりあえず人を載せとけっていうインフレ状態になってます。ぜんぜん知らない店主が出てきたり、あと写真じゃないイラストというのも流行です。
ちょっと前まで“なんつっ亭バブル”ってのがきてて、ポテチやらなにやら、顔写真載せたい放題という状態でした」
あ、確かにポテトチップにラーメン店主の顔が載ってるの見たことある。あれがいわゆる第3次だったのか。 |