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ひらめきの月曜日
 
もったいないけど酒で煮る


普段は飲まないようなお酒も買いました

煮物などを作る時、日本酒をだばだばと惜しげもなく入れている。いっそこのまま飲んでしまいたい!という欲望と闘いながら「おいしくするためだ」と自らに言い聞かせ、だばだばと入れる。

日本酒だけじゃない。洋風の煮込みの場合はワインを使うし、中華料理の場合はそれが紹興酒になったりする。

国や酒の種類は違えど、これらに共通するのは「ほとんど肉に関係した料理」ということだ。酒には、臭みを消したり肉を柔らかくする効能がある。

そこで考えた。酒ならなんでもいいのか? 
さっそく試してみました。

高瀬 克子



煮るというか、しゃぶしゃぶします

今回の実験で使用する肉は豚だ。しゃぶしゃぶ用の薄切り肉を買ってきて、これをいろんな酒でしゃぶしゃぶしてみようと思う。

最初から固さがどこにもない肉なので「どのくらい軟らかくなるか」についての検証はできないが、とりあえず臭みについては分かるだろう。

なんたって、火が通ったらパクッとそのまま口に入るわけですから。誤魔化しようがないですから。


張り切って買いすぎました

まずは、ただの水で試してみよう。

いつもならここに日本酒を注ぐのだが、今回に限ってはグッと我慢だ。思えば、水だけで肉をしゃぶしゃぶするのは初めての経験である。やっぱり、ちょっと肉の臭みが出ちゃうのかしら。どうなのかしら。


今回の記事は、
ほとんどこういう写真ばかりが続きます

肉の味が損なわれない程度にポン酢を付けて、すぐさま口に入れる。

「…あ」と思った。「どうしよう。この企画ダメかもしれない」とも思った。

だって、おいしいんです。肉の味がダイレクトにして、とてもおいしい。今まで日本酒を注いでいたのは、いったい何のためだったのか、というおいしさ。

もしや「肉の臭みを消す」というのは肉嫌いの人に向けた対処法なのか? もともと肉が好きな人には、酒はかえって邪魔なんじゃないか?

企画を中止するなら、いまだ。


毎晩のようにお世話になっております、ビールです
泡と共にしゃぶしゃぶ

…続けることにしました。しゃぶしゃぶは、あくまでひとつの調理法でしかない。この結果を踏まえて、他の料理に応用すればいいだけの話だ。うん、そうだ。

勝手にいいように解釈して、このまま「酒しゃぶ」を続けたいと思います。

と、自分を納得させてたら、ビールを入れた鍋がエライことになってました。


泡まみれにも程がある
でも、おいしそうですよ

以前、大塚さんに「実家ではこれが普通だった」というビール鍋を御馳走になったことがあるが、あの時の味を思い出した。ほのかに麦の味が付加されてサッパリと食べられる。大人の味、と言っておこう。

続いて試すのは、こちら。

 


初めて買ってみました

カルピスは子どもの飲み物だと思っていたが、まさかお酒になっていたとは知らなかった。

ビールが大人の味ならば、こちらは子どもの味になってしまうのだろうか。


お酒とカルピスの匂いが同時にすることの不思議さよ
さて、どんなだろう

遠くにカルピスの味がするが、驚くほど違和感がない。というか、おいしい。

そういえば、古賀さんがカルピスを使って信じられないような記事を書いていたが「あれって本当においしかったんだ」と思いを新たにした。すみません、今の今まで疑ってました。カルピスしゃぶしゃぶ、いけます。

この調子で、次はコチラでしゃぶってみましょう。


なんかもう、すんごくおいしそう
味見したら、とんでもなくおいしかったです。濃い!
いい匂いと共に、しゃぶしゃぶ
肉が黄色く染まりました

肉に甘みがついて、ものすごく贅沢な味になった。これはいい! いいけど、もったいなくて出来ない! ああ、なんというジレンマ!

果物の酵素には肉を柔らかくする作用があるというし、酒と果物が一緒になったこの飲み物は、肉を調理する際に最強なんじゃなかろうか。

いや待て。果物の酒といったら、これがあるだろう。


そういやワインなんて、もろ果物のお酒ですな
が、なんとも言えない色に

色を見ればお分かりいただけるだろうが、もろにワインの味がする肉になった。食べられないことはないが、ワインは煮込みに使うべきだ。…って、言われなくても分かってますね。すみません。

そういえば果物のお酒は、まだあったぞ。


大事に飲んでる5年ものの梅酒を使用

これならマンゴーやワインのように、肉に色が移ることもない。

もったいないので、ごくごく少量でしゃぶってみた。


しゃぶしゃぶというより、ほとんど煎ってます
こころなしか、今までより柔らかめ

おいしくないワケがない。微かに甘く、それでいてサッパリと、いくらでも食べられる味と言おうか。梅酒、いい! いいけど、やっぱりもったいない!

 

煮込むに限る

いい加減しゃぶしゃぶにも飽きたので、使ったお酒を全て混ぜ合わせ、玉ネギと豚肉を入れて煮込んでみた。

主にワインの色に染まった豚肉が、醤油を加えることによって、なんとなく牛肉のように思えたのが嬉しかった。


酒、大集合
牛丼にして食べよう。牛じゃないけど。

なんで、しゃぶしゃぶしたんだっけ?

実は他に、甘酒(アルコールは入ってない)とウィスキーでも試してみたのだが、どちらも特にマズイと感じることなく普通に食べることが出来た。

ただしウィスキーに関しては注意が必要(しゃぶしゃぶしながらボーボー燃えます)です。喚起を促さなくても、誰もそんな馬鹿なマネなどしないと思いますが。

「変わりしゃぶしゃぶ」としてなら梅酒とカルピスがオススメです。それ以前に、酒は煮物に使用することをオススメします。

ウィスキーは絶対にこのまま飲んだ方がいい

 
 
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