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はっけんの水曜日
 
点字を求めて歩き回る
なんだろ、この点字


 缶ビールを飲んでいたら気づかずにいられないあの突起。点字だ。でも、これってなんて書いてあるんだろう?

 点字は、6つの点の突起のある・なしの組み合わせで1文字をあらわしている、ということくらいは知っている。というか、それしか知らない。

 これまでの人生で目にしたり触れることはあったものの、実際に読んでみたことはなかった。それは書かれている場所から推察すればおおよそ予測はつくからであるが、本当はどんなことが書かれているのだろうか。

 ということが気になってしまったので、街中で点字がありそうなところを歩き回ってみた。

(text by 藤原 浩一

最初はこれ

 興味の発端が缶ビールに書かれた点字だったので、まずは缶入りのお酒を見てみることにした。

  はじめ、気づかず逆さにして読んでいて「え、なんて書いてあるんだ?」とか思ってしまったが、缶に書いてある点字は上側にして読むのが正しいみたい。どっちが上か知らなかったなんて、無知とはこういうことか。


おたくのビールで確認してください

 で、書いてあったのは以下のような感じだ(●が突起部分)。

○● ●○ ●●
●○ ○● ●○
○○ ○● ○●

 この点字を表に照らし合わせて読んでみると「オサケ」となる。

 いろいろ見比べてみたが、どの缶にも同様だ。ビールも発泡酒もチューハイもこの「オサケ」という文字が刻まれていた。ビールだから「ビール」だとか、種類を示してはしなかった。みんなオサケ、大雑把だ。

 という感じで、「たぶんそうだろうな」ということを「やっぱりそうだったな」という感じで確認することになりそうです、今回の企画。みなさんも、「やっぱりそうだったんだな」と思っていただければ幸いである。


ギネスはお酒じゃない・・・ということはない

 

最寄駅へ

 「オサケ」の確認に続いて、最寄の駅に向かった。あそこは点字たくさんがあったはず。

 早速見つけたのが切符の券売機だ。タッチパネルの下の部分に点字が打ってある。街で見かける点字は、たいてい普通の文字で同じ場所に同じ内容が書いてあるのだが、ここにはない。


普段スルーする場所に点字が。

でも点字だけだと読めない。


 プリントアウトしてきた点字の資料と見比べて読んでみた。書いてあった内容は以下。

 「   スイカ キノーツキ ケンバイキ
  チャージ リレキ インジモ カノー
     ソーサ テジュン
  ヒダリシタノ キーデ カイシ
  オンセイ アンナイニ シタガイ ソーサ

  (スイカ機能付きケンバイキ
   チャージ履歴印字も可能
   操作手順
   左下のキーで開始
   音声案内に従い操作) 」 

 ということだそうで。普段はタッチパネルを使って切符を買うけども、目の不自由な方ははどうやって買うのか、と思ったらちゃんと書いてあったわけだ。

 それによると、タッチパネルの下につけられているテンキーを使って買うらしい。そういえば、確かにあったテンキー。一回も使ったことが無かったが、今回はちょっとこれを使って買ってみよう。

 手順は、「*」を押す→目的地までも金額をテンキーで入力→「♯」を押す→お金を入れる、という流れだった。


ぽちっとな。

 こういうところの点字を読む人はなかなかいないだろうはずなので、ちょっとわくわくする。テンキーを使って切符を買うのも、ただ面倒なことをしてるだけではない気がする。

 早速買った切符を使って(まあただの切符ですが)改札を通る。他に何か無いかなあと、探していたらあった。階段の手すりだ。


そういえばよく見かける。

んー?


  手すりの先には改札があるということを示すために点字が打ってある。読んでみると・・・「カイサツ −−タ」?なんだこりゃ?

 手元にあった点字の対応表を見ながら、考えていたら気がついた。これは点字というか、そのまま矢印だ。

 反対側の階段の手すりを見てみると、こんな感じ。


完全に矢印になってる。

 こちら側から、改札は階段を下りて折り返した場所にある。というわけで、こんな風になっていたのだ。

 おそらく点字を打ち込む装置を使うだけで矢印が表現ができる方法として、こういった風になっているんだと思う。アスキーアートみたいな感じだろうか。めくるめく点字の世界だ。

 さらに、電車に乗って大きな駅へと向かうことに。きっといろいろあるはずだ。


埼玉県民が考える大きな駅=池袋。

 

意外とみつからない

 とりあえず池袋駅まで出てきたものの、歩き回っても点字はなかなか見つからない。

 ATMにはあるかな、と思い行ってみたが、切符の券売機のようなテンキーは無かった。カードや通帳を入れる部分に点字があったが、操作するにはパネルを使わなければならないので、目の不自由な方には意味が無い気がする。


探してみても

つるつるしてます


 当ても無く歩き回ってみたところ、あとはこんなところにも点字があった。


郵便ポストの

ここ。普通に書いてあるとおりに点字が書いてある。

自動販売機のおつり、硬貨投入口。ヘンキャク

「ウエ」と「シタ」と階数の「1」が書いてある。


 あまり刺激の無い点字、という評価は変かもしれないけど、さんざん歩き回った挙句これだけだと物足りない。点字による案内はもっとありふれたものだと思っていたが、そうでもなかったみたいだ。

 さらにうろつき回り、渋谷駅まで行ってみたらこのような地図を見つけた。


構内案内図。

 一見なんの変哲も無い構内案内図だが、近づいて触ってみると、でこぼこしている。触って感じる地図だ。

 左側に現在地や階段、点字ブロックを示す触ってわかる記号の一覧があり、それを地図上に配置することで駅を表現している。


こういう記号が

こうやって配置されている。

 目をつぶって触ってみた。全然わからなかった。やはり触ったものを地図として感じ取るには、やはり訓練が必要なのか。すごい能力だ。

 そんなことを最後に感じつつ、日が暮れたので家路についた。

 今までただの意味ありげなボツボツにしか見えなかった点字には、確かに意味があるんだな、ということを実感できた一日でした。目で点字を探し回るというのは、ちょっとおかしな感じもしましたが。


 
 
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