じゃあ木はどうだ
エルゴノミクス、そしてフューチャリスティックという流れに反して、頑固な「木製のベンチ」もまだまだ健在なので、ちょっとこのページで座ってみよう。
ちょっと、といいつつJR青梅線の羽村駅まで足をのばしてしまった。
どうだ、このLっぷり。超低い座面。ショッキングな外観に合わない、かわいげな色。
よくぞこの都内に残っていてくれた、と肩をたたきたくなる。 座ってみると、やはり木だ。堅そうに見えてもどこか、人間の体になじんでくれる気がする。
羽村駅・座りにくさ評価(★で5段階+イメージ)
次は、ショッキングな外観という意味ではこちらも負けていない。東武東上線、北池袋駅のベンチだ。
合板でできたそれは、昭和の香りをプンプン漂わせている。夜のホームに置かれて蛍光灯を浴びている様は、失礼ながらさすが東武!と思わざるをえない。
剥がれかけた座面に腰を落ち着けると、これはこれでいいような気がしてきた。 よくわからないが、諦観を突き抜けたほのかな幸福、というか。
北池袋駅・座りにくさ評価(★で5段階+イメージ)
上の2つが洋菓子なら、これは和菓子、ようかんのようなベンチである。中身の詰まった、東急池上線旗の台駅のベンチだ。
昔ながらのベンチにしては、座面が高い。深く腰掛けると足が多少浮く。木のハンマーで膝を打てば脚気の診断ができそうだ。 作った当時、老若男女のどの体格レベルに合わせたのだろうか。
今この駅は改装工事中なので、このベンチがいつまでここにあるかわからない。が、これもぜひ次代に残したいベンチである。
旗の台駅・座りにくさ評価(★で5段階+イメージ)