僕にとってチャーハンはもはや赤色だ
下北沢に昔からある中華料理屋さんのa亭。昔ながらのたたずまいで愛着がもてるいいお店だ。団体客用に2階席が座席になっている。
僕の目の前に赤いチャーハンが運ばれてきたときは「これ、チャーハンですか?」とお店の人に問いかけそうになった。色が違いすぎて分からなかったのだ。
しかし周りの常連客っぽい人も皆赤いチャーハンをなんの躊躇もなくたべていた。
よく考えればチャーハンが茶色っぽい色だと誰も決めてないのである。カレーが緑や赤でもいいように、チャーハンだって赤でもなんら不思議はない。そう言い聞かせて食べたチャーハンは僕が今まで食べたどのチャーハンも勝てない味だった。一心不乱に未知のチャーハンを食べた。うまかった。
突如として入ってきた「赤い」という概念
何度かこのお店に通ったら、ほかのお店のチャーハンが物足りなく感じるようになってしまった。さらに、僕の中でうまいチャーハン=赤いという不思議な図式が出来てしまった。
お店のことを人に話すときは「うまい」や「まずい」と言った尺度か、「雰囲気が良い」「悪い」といった、いいか悪いかの尺度で話していることが多いと思う。そこへ来て『赤い』といういいとか悪いとかとは別次元の概念が割り込んできている。 |