デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ロマンの木曜日
 
「いってこい坂」は川底の名残

都内屈指のいってこい坂

次の坂は、市ヶ谷の大日本印刷わきの坂。

「中根坂」という名前があるのだが、ぼくは以前からここを「市ヶ谷のいってこい坂」と呼んでいる。


これはすごい

ここの坂のすばらしさは、なんといっても途中の陸橋である。対岸が陸橋の上にかすんで見える。もしこの道を人間が設計したのだとしたら、無駄な穴を掘った上に陸橋を作るなと上司に叱られるのではないか。

しかしもちろん、ここを削ったのはかつての川なのにちがいない。


矢印の左がいってこい坂。向きは上の写真と同じ。


自衛隊の裏、加賀町のあたりに水源があり、そこから東へお堀まで流れていた川のようだ。

さがしてみると、水源はこの公園のあたりだった。


加賀公園
川下を見返す。

水源からさきほどのいってこい坂までは300mほど。たったそれだけの距離で、水の流れはあんなに大きな谷を作るのかとびっくりする。

 

近所のいってこい坂

最後はこちらを。


同じような写真が続く


半蔵門の会社まで自転車を通勤をして、最後に登る坂がこれ。見た目はそれほど急ではないものの、最後のさいごでこういうムダな上り下りをしないといけないと思うと気が重くなる。今回はじめて地形図をチェックしてみた。


こうしてみるとそれなりに大きな谷だ


川の水源をさがして上流へさかのぼって見たところ、なんとせせらぎを発見することができた。この都会で!


これは!
川じゃありませんか

どこまで続くのか?
・・ああ。やっぱり。

辿りついた先は、地形的には確かにかつての水源だったと思われる場所。せせらぎは、オフィスビルの建つこの敷地に作られたもののようだった。

いってこい坂は川底だった

そのことを最初に思ったのは、目白の学習院わきの急な坂を登っていたときだった。いったいこんな急な丘はどうやってできたんだろう?

そして、坂の下に神田川が流れていることを思い出してはっとした。そうか、神田川が削ったのか!あんな小さな川が。こんな大きな丘を。

ここは四谷の谷を削ったせせらぎの始まり。

それ以来、ぼくは坂を見ると川を思うようになった。今ではもう川が流れていない坂も多い。しかし、かつては確かにそこにあり、そして長い年月をかけて少しづつ谷を削った。そしてぼくはその上を歩いているんだと思うと、いつも嬉しくなる。


 
 
関連記事
渋谷川の源流をさがす
すごい坂を見に行く
東京崖っぷちツアー

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.