「おもちゃのまち」という街がある。
と、聞いても、それは何かテーマパークのようなものだろうと思う方も多いかもしれない。「おかしのいえ」同様、童話にでも出てくるようなイメージだと思う。
そうではないのだ。本当に「おもちゃのまち」という、メルヘンチックな名前の街が実在するのだ。
別に最近になって大々的に登場したわけではなく、それなりに年季も入っているらしい。どんな様子か確かめるべく、行ってきました。
(小野法師丸)
●心ときめかせながら向かう街
やってきたのは栃木県下都賀郡壬生町。壬生町は、「みぶまち」と読む。私も今回はじめて知ったのだが、栃木県南部の、栃木市と宇都宮市の間にある町だ。
まずやってきたのは、市内の交差点。一見なんの変哲もない交差点なのだが…。
交差点の名前表示が、ダイレクトに名乗っている。きっぱりと「おもちゃのまち」。知らずに通ったならば、目を疑うようなインパクトのある名前だろう。
しかし、左の写真からもわかるように、特に「おもちゃのまち」感のある交差点ではない。あくまで普通だ。
交差点の角にはマツモトキヨシが普通にある。メガネの和光も見える。いずれにしても、おもちゃ感はない。
そう思っていたのだが、マツキヨと対角にあるスーパーをよく見ると、しっかりと「おもちゃのまち」を名乗っているではないか。やはりここはおもちゃのまちなのか。
ただ、そう言われても、正直なところまだ実感がわかない。自分が思っていたおもちゃのまちのイメージとはどうも異なる。もう少し車を走らせてみよう。
スーパーから少し先に行ったところにあるセブンイレブンも、「壬生おもちゃまち店」を名乗っている。
やっぱりここは間違いなく「おもちゃのまち」なんだと思わされるのだが、それは店名に説得されているような感じであって、名前からくるメルヘンな雰囲気は湧いてこない。
ちなみにセブンイレブンでは、栃木のローカルドリンク「関東・栃木レモン」を購入。そういう正式名称の乳飲料なのだ。牛乳にレモン風味のついた甘い飲み物、と言えばよいだろうか。
(この飲み物には歴史や紆余曲折がいろいろあるようで、それはウィキペディアに詳しく載っているので、興味のある方はご覧になってみてください)
飲みながら町を移動していると、ここがおもちゃのまちであることがいろいろなところから伝わってくる。
歩道橋には「おもちゃの町」表記といっしょに花の絵が描かれていて、やっとかすかにメルヘンか。
さらに辺りをうろうろしていると、電柱の町名表示を発見。しかも「おもちゃのまち一丁目一番地」だ。そう、この名前は相性や通称というわけではなく、正式な地名なのだ。
この「おもちゃのまち」の命名は、1960年代にたくさんのおもちゃ工場が移転してきたことによるらしい。そして1977年、正式な地名となったとのことなのだ。夢のある話ではないか。
ただ、現在の「おもちゃのまち一丁目一番地」にあるのは、
回転寿司だった。個人的には微妙なギャップを感じてしまう。メルヘンを期待して行くと、待っていたのは寿司。
もう少し町内を見て回ってみよう。