●攻撃の手を休めないおもちゃのまち
今回訪れたのが「おもちゃのまち」であるということはすでに伝わったかと思うが、町内にあるものたちは、当たり前のことだがグイグイとおもちゃのまちで押してくる。
名前からくるイメージはともかく、一般的な街に必要な要素は一通り満たしている感じがある。心に夢があろうとなかろうと、問答無用でここは「おもちゃのまち」なのだ。
街に必要な要素、と書いたが、交通機関の面でもそれを満たしている。駅があるのだ。
こちらの名前もストレートに「おもちゃまち駅」。写真からしても最近できたような感じではないことはわかるだろうが、開業は1965年。もう40年以上も前からある駅なのだ。
駅前に広がるのはシンプルな光景。この駅からたくさんの人がおもちゃ工場へと働きに行っていたのだと思う。
そう、おもちゃのまちは、別におもちゃでできているわけでも、おもちゃであふれているわけでもない。おもちゃ工場がたくさんある街なのだ。今度は工場地帯の方に行ってみよう。
工場地帯では、「おもちゃ団地共同組合」なる建物を発見。確かに同種の工場が集まった地帯を「○○団地」と呼ぶ言い方は聞いたことがあるが、「おもちゃ団地」というのは何ともかわいい響きだと思う。
訪れたのが祝日ということもあってか、建物内には人の気配はなかったのだが、大きな地図があった。おもちゃ関連の工場がたくさん並んでいる様子がよくわかる。
こちらも祝日のためか、工場地帯はあくまで静か。平日にはもう少し喧騒もあるのだろうが、車の往来もなく、楽しげな名前の街を歩くことに浮き足立っていた気持ちとのギャップが楽しくも感じられた。
そんな中、今回初めて明らかなおもちゃ感を漂わせている建物を発見。
玩具メーカーのバンダイが運営する、「おもちゃのまちバンダイミュージアム」だ。
昨年まで千葉県・松戸駅前にあった「バンダイミュージアム」が閉園となったことを受けて、今年の4月からこちらに開設されたおもちゃの博物館だ。
やっと実体のあるおもちゃ感にたどり着いた。入場料400円を払って入ってみる。
この博物館では、エジソンを大フィーチャー。建物入口すぐのところに像が立っているほか、たくさんの発明品が展示されていてとてもおもしろかった。(撮影不可だったので、お見せできないのが残念なのですが)
シンボリックにそびえ立っていたのは、ガンダムの実物大モデルの上半身。写真に写っている人と比べてもわかると思うが、かなり大きい。ビールサーベルの取っ手部分だけで、私の身長と同じくらいだったように見えた。
「おもちゃのまち」という響きに惹かれで訪れたこの街。確かにそれは間違いなかった。
街の名前の響きから予期した様子とは違っていたことも事実だ。ただ、だからといって、がっかりしたわけではない。楽しげな名前の知らない街をうろうろするのは楽しかった。
本当にあった「おもちゃのまち」。夢あふれる名前をこれからも残していってほしいと思います。