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フェティッシュの火曜日
 
電線の上流へ
いつかあなたに出会えるのでしょうか。


川をさかのぼれば、水源に至る。水道をさかのぼれば、浄水場や給水所に至る。では電線をどんどんさかのぼれば、発電所に至るのだろうか。

都内でウチから一番近い発電所というと、品川区にある。自転車で電線を見上げながら辿ってたどって行ってみよう。

大坪ケムタ



電気の水源まで14キロ

考えてみると、発電所から電気が家まで来てるのは当たり前なのだけど、一番近所の発電所だから家に来る、と限るのだろうか?もしかしたら本州の反対側の原発から流れ流れて来てたりするかもしれない。東京電力に電話で聞いてみた。

大坪「つかぬことをおうかがいしたいんですが‥今自宅に来てる電気が、どこの発電所から来てるか教えてもらうことはできますか?」

東電の人「どこの発電所から、ですか?‥少々お待ちくださいませ‥(保留音)お待たせしました、ちなみにどういった御用途でお調べでしょうか?」

坪「ざ、雑誌の企画で調べてるんですけど(なぜかインターネットと正直に言えずに雑誌とごまかしてしまった。良心が痛む。)」

東「どちらの地域をお調べですか?」

坪「とりあえず世田谷区の明大前駅周辺をお願いします」

東「では、分かり次第折り返し電話いたします」

と、分かりそうな雰囲気でなんとなく電話は切れた。というか、わざわざ調べてくれるんだなぁ。「今日明日くらいでお電話いたします」と言ってたけども、実際どんなもんだろ?と思ってたら10分もかからず東京電力から電話があった。

東「今回は雑誌の企画とのことで‥個人ならいいんですけど、そういう場合は明大前周辺といった広い地域はお答えできないんですよ」

とのこと。あらら、最初から個人って答えればよかったのか‥取材とか怪しい名目だもんなー、テロ目的か?と思われても仕方がない。まぁ、個人で聞いてくる人もそれはそれで怪しいけれど。子供の夏休みの宿題のフリでもすりゃよかった!

また同じ番号に電話してもバレるだろうから、とりあえず近所の東京電力品川火力発電所に行ってみよう。もし新潟の原発だとしても、ココに行くつもりだったけど。起点は一番近い明大前駅ということにしてみた。

ルートを調べると、結構大きい道を行けば約14km。距離的にも自転車で行ける距離。ただしずーっと上空に電線があれば、の話だが。


緑線が予定ルート、黒線が山手線。

起点とするのは、駅前の一本の電線。ただあらためて電柱を見てみると、そこに伝っている線は電気だけではないわけで‥電気、電話線、CATVなどの線も伝っている。その辺を見間違えないようにしないと。バケツ型の電圧器があれば電線と思っていいんだろうが。

ではでは、上を見つつも車や歩行者にぶつからないよう、行ってきまーす。


この一本から品川発電所へ向かいます。
赤線が追っかけルートです。
ずんずん商店街を越えて。
主要幹線・甲州街道へ。

‥とまぁ、この調子で品川発電所まで全経路を写真で見せていっても仕方ないので、端折りつつ書かせていただきますよ。

 

電線のメインストリートは裏道にあり

あらためて電線を伝っていって気づいたのは、「比較的新しい大きな主要幹線には、意外と電線がない」ということ。たとえばこんな道。


代々木上原周辺。見事にたどるべき電線がない。

ここも横断歩道手前までは電線があったけど、突然無くなってる。

発電所までの道は甲州街道〜井の頭通り〜山手通りと、すべて都内の主要幹線をたどれるため、電線くらいあるだろうし意外と楽勝かな?と思いきや、比較的新しい道だと地下化されてるからか、ぜんぜん電線を見かけなかったりする。電線のメインストリートはどこへ?

しかし、その場合は電線を辿ってちょっと一本横道に入るとまた電線ストリートに復帰できる。大きな道でもちょっと古めの道や、よく「これで渋滞回避!裏道マップ」なんて本に載ってそうな大きさの道がほどよい感がある。これぞ電線メインストリート。


でも、ひとつ裏に入れば電線いっぱい。
裏道ぽいところが電線の主要幹線。

自転車での行きやすさを考えると極力大きな道を進みたいのだけれど、脇道に入ると電線がまた夏らしい風情あるところにに伝わってたりするから、周り道もあなどれない。


お祭りのちょうちんに電線が伝わってました。

ウチの電気もお祭りのちょうちんも同じ電気で動いてるんだなぁ。当たり前だけど、つながってるのを実感。


そうこうしてる間に電線は渋谷区を越え、
目黒区も越えていきます。

 

 
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