玉はそろった

かれこれ1時間ほど過ぎたころ、僕はクランキーに必要な玉が十分そろったのを感じたんだ。
だからその作業をやめにして、次の行程にとりかかった。
そう、クランキーからパフを取り除く行程に。

電子レンジで融かそう

クランキーを耐熱のカップに入れて、電子レンジでチンして融かして、融けたチョコレートを茶こしでこしてパフを取り除こうと思ったんだ。
そうすれば、パフのない純粋なクランキーチョコができあがるだろう？
クランキーチョコが入ったカップを電子レンジにいれてピッとボタンを押した。
あとは電子レンジが勝手にクランキーをドロドロにしてくれるだろう。

大惨事が起こった

レンジが回転しはじめて少したつと、チョコレートの匂いが僕の部屋中に充満しはじめた。
最初はそれがごく当たり前のこと、つまりチョコレートを融かす行程においては当然の匂いだと思ったんだ。
けれども、それがそうじゃなかった。
やけに焦げ臭い匂いになっていったんだ。
心配になって加熱中の電子レンジに目をやると、モクモクと白い煙が上がっているんだ。
それも天井に届きそうな高さまで。
これにはさすがの僕もびっくりさ。
あわててレンジの扉をあけてクランキーの入ったカップを取り出したよ。
そうしたらクランキーの奴、すっかり真っ黒焦げになっちまってたのさ。

もうお手上げさ

クランキーは電子レンジにいれると黒焦げになっちまうなんて、そんなこと知らなかったから、知っていたらこんなチンケな失敗なんてせずにすんだってものさ。
しかたがないからもう一度クランキーを買ってきた。
今度は湯せんにするよ。
同じ失敗はごめんだからね。

今度は融けた

湯せんにしたクランキーは、すぐにドロドロになった。
これを茶こしでこして、パフを全部取り除こう。
まだチョコレートの焦げた匂い（それはまるで街角のサンマルクカフェのようだったね）が漂う部屋の中で、融けたクランキーを茶こしの上に注いだんだ。

またお手上げさ

人生はなかなか楽じゃないっていうのは隣に住んでるエドワードさんの口癖だけれど、その意味がが身にしみてわかったよ。
なぜって、茶こしのクランキーは、ネバネバしていてこせないんだ。
スプーンでかき混ぜてみたけどどうすることもできない。
ほんとうに困り果てたよ。