有限と無限のあいだに
小さい頃、夜空の星を数えたことがある。 読んだ本に星の数は無限だと書いてあり、そんなわけはないだろう限りはあるはずだと思い、数えてみたのだ。 いくつくらい数えただろうか、上を向いたままの首が痛くなって頭をもどしたら、どこまで数えたかわからなくなってしまった。 けれども、ビルの赤い光は有限である。 数えようと思えば数えることができるのだ。 けれども、大人になった僕はもう数えようとは思わない。 それはなぜだろう。 きっと面倒だからだ。
光を集めて
数を数えようとは思わないかわりに、東京中に広がる赤い光をぎゅっと集めることができたらどんなにかきれいだろう、そう思った。 ビルの屋上や側壁にケーキのデコレーションのように灯っている航空障害灯を、どこかに集めてきてキラキラと輝く様子を眺められたらきっと素敵だろう。
集めてみよう
将来、飛行機が有視界飛行をしていたというのが信じてもらえない時代がやってきたら、航空障害灯は姿を消してしまうかもしれない。 そうなる前に、この美しさを誰かに伝えたい、そういう意味も込めて、光を集めてみることにした。