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はっけんの水曜日
 
水カップ麺は美味いのか?
氷オン赤いきつね。キテレツな写真ですな。


8月の終わりに「アイスをたくさん食べると体温は下がるのか?」という記事を書いた。自由研究の役に立っただろうか?その中で僕は冷水でカップ麺を作って食べてみた。

 冷水で作ったカップヌードルは、暑い日には嬉しい美味しさだった。冷たくて美味しかった。

 今回はカップ麺のタイプ別に水で戻して食べ比べてみようと思います。水で作ったカップ麺、果たしてどんな種類でも美味しいのだろうか?

(text by 松本 圭司

スープも溶けにくい。ちゃんと食べられるのか不安である。

■東洋水産 赤いきつね

 赤いきつねは熱湯でも5分掛かるカップ麺界のスローフードである。だからフライ麺なのに水で食べられるようになるまで結局40分待った。

これはもう立派に普通にスローフードである。

 休日の朝にだけ許される贅沢な時間の使い方。なんだか優雅な思いで冷たい赤いきつねをすすった。

一見普通に赤いきつねだが、実は冷たい。

 食べると、ちょっと麺がボソボソする。スープもしょっぱく感じる。あげは、甘い。塩味も甘味も、全体的に強調されている感じだ。

 味が鋭角でソリッドな赤いきつねであり、優しさは感じない。厳しい赤いきつね、それが冷し赤いきつねだ。

 食べられなくはないが、好んで冷やして食べようとも思えない。試しに温めて食べてみたら麺がモチモチになって驚いた。赤いきつねってこんなに美味かったのか!という再発見である。

つまり、冷たい赤いきつねの方程式は、

赤いきつね − 熱湯 + 水 = 厳しい赤いきつね

と言うことだ。赤いきつねは熱湯でこそ輝くのだろう。

 

蛇口から直接水をターッと注ぐ。手間いらず。

■ニュータッチの自信作、凄麺

 次はニュータッチの凄麺だ。ニュータッチというとちょっと地味で目立たないブランドだと思うのだが(DPZ内の僕のようだ)、この凄麺の美味しさはただ事じゃない。乾麺なのに生麺(ラ王など)に匹敵する美味しさなのである。

 美味い乾麺カップ麺といえば十勝製麺のフリーズドライ麺だが、凄麺もかなり凄い。価格的にも200円程度とかなり健闘しているのがエライと思う。

では、一通りカップ麺の知識をひけらかしたところでサッサと注水しよう。

氷を入れて冷やす。最初から氷水だと麺が戻るのに時間が掛かるのです。

 注水して20分待ってみた。試食してみるといまいち固かったので結局30分待って食べてみた。

 麺は美味い。スープはややしょっぱい。スープの脂が固まってしまって、どうにも食べにくい。この際、液体スープの脂は冷やして固めてスープに混ぜない方が美味しかったかも知れない。

酸味を足すともっと美味しくなる気がした。

つまり冷たい凄麺勝利への方程式は、

スープ − 脂 + 酸味 = 勝利

と言えそうだ。

 温かい凄麺は凄いのにこの結果は残念である。凄麺が可哀想なので、半分ほど冷たいまま食べて残りは温めて食べた。美味かった。


脂は少なくした方が良かった。冷たい動物性油脂は不味い。

 

四角い顔でお馴染み、ペヤングソースやきそば。

■ペヤング ソースやきそば

 熱烈なファンを多く抱えるペヤングの浮沈艦、ペヤングソースやきそばである。人気の秘密はチープな麺と、やや辛い安っぽい味のソースであろう。僕も大好きだ。

 そんなペヤングに水を注いだ時、なんとも言えない罪悪感が胸に去来した。これはきっと、僕の胸の中に潜むペヤング愛がきしむ音。

先にかやくを水で戻しておくべきだった。失敗した。

 注水して15分で大体麺が戻った。蓋を開けたらモワッと膨らんでいたので驚いた。

 水を切る時、火傷の心配が無い事や、メガネが曇らないのが楽で良い。お湯で作ると流しに開けたお湯でメガネが真っ白になってしまうのだ。視界ゼロで熱湯を扱うのは怖い。

ザッザッと水を切って仕上げ。ソースがなかなか絡まない。

グリグリとかき混ぜ、では、さぁ、モサモサと食べよう。

お湯で戻した時よりもソースの香りが少ない。その点も残念。

 ソースの辛さが強調される感じで且つ、若干麺が伸びちゃった感である。15分は長すぎた様で、10分くらいで良かったのかも知れない。

 だがしかし。かやくのキャベツはいまいち戻ってない感じだった。噛むとカリカリと音がする。かやくだけ長めに水に浸した方がいいのかもしれない。

よって、冷やしペヤング勝利の方程式は、

(かやく+水)×20分 + (麺+水)×10分 + ソース = 美味い

だろう。

 その点を補正したならば、ここまでで1位の美味しさだった可能性を秘めている。ペヤングは比較的冷やし向きのカップ麺である。

 

お湯で作りたくて仕方ない。実は1個、やっぱ水は嫌だなと思ってお湯で作ってしまった。これ、2個目。

■日清 カップヌードルカレー

 さて。4番バッターはカップ麺業界の巨人、日清のカップヌードルである。「アイスは〜」の記事で食べていたのは醤油味だった。やや脂っぽさが気になったが美味しく食べられた。ではカレーはどうなんだ?という試みである。

結果は最初からある程度見えるような気もするが、解り切ったことを試すのも大事なことなのだ。

脂の粒が白く固まってツブツブ見える。不味そう。

 水を入れて20分。蓋を開けてみるとなんだか不穏な見た目である。半ば予想通りだったが、醤油味よりも更に脂質が多いカレー味の脂はやはり凄かった。

 醤油味の脂質が16gであるのに対して、カレー味の脂質は20.8gである。5gほど多い。凄麺は大体11g程度の脂質なので倍近い。

それだけに、固まった脂が何とも気持ち悪い食べ心地だ。

慣れちゃうと結構イケルが、温かい方が圧倒的に美味い。

 食べ進むうちにある程度慣れてしまったのが、それでもやっぱりカレー味は温かい方が美味しいと思った。温めて食べてみたら実際美味しかった。

考えてみるまでもなく、冷たいカレーは美味しくないよね、という結論。つまり冷やしカレーヌードの方程式はこの様になる。

冷たいカレー = 不味い


また不味い結果になってしまった。

うーん、なんとか水で美味いカップ麺は作れないだろうか。

 

■ポイントは脂質と酸味じゃないか?

 どうにも脂が冷えて固まっていると美味しくない。冷たいと、塩味と妙なうま味が強調されてしまって美味しくない。フライ麺はボソボソした感じなって美味しくない。

と言うことは、そうだ。逆に考えよう。

 脂質が少ないノンフライ麺のカップ麺を水で作って、冷たくても美味しい感じに味付けすれば美味しくなるんじゃないだろうか。凄麺の時に導き出した勝利への方程式を使うわけだ。

スープ − 脂 + ノンフライ麺 + 酸味 = 勝利

である。では最後にそれを確かめてみよう。

 

日清麺職人。ノンフライ麺で液体スープタイプ。その割に安いのだが、麺とスープのコストアップ分はかやくで吸収している感じ。

■日清 麺職人 醤油味

 麺職人の麺は美味い。流石ヌードルマイスター。職人を名乗るだけの事はある。コストダウンと美味しさを両立させた一品であり、日清の底力を感じる。

 構成は、ノンフライ麺+かやく+液体スープ+海苔。カップ麺用語ではNL3+と呼ぶ。Nはノンフライ麺、Lは液体スープ、3は麺+かやく+スープ、「+」は3以外の添付品を指す。

冷たい麺は酸っぱくすると美味い。冷やし中華の定理だ。

 麺職人に含まれる脂質は7.8gなのでNL3+の中では少ない。通常NL3+は具が豪華でレトルトパックのチャーシューが入っていたりして脂質が多くなりがちだ。

 麺職人に脂質が少ない秘密はしょぼいかやくにある。ネギとメンマだけである。チャーシューなどが無い分だけ脂質が少ない。

代わりと言ってはなんだが海苔が3枚入っている。これは嬉しい。つまり、式で書くとこんな感じである。

液体スープ + 脂質が少ない具 + ノンフライ麺 = NL3にしては少ない脂質

7.8gの脂質、ほとんどがスープの分という事になる。

予想外にちゃんと美味かった。酢が救世主となった。

 水で麺を戻すこと30分。食べられる固さになったのでスープを溶かした。脂は出来るだけ入れないようにしてスープを作り、そこに酢を足した。中途半端に冷たいと美味しくないので、10月も半ばで涼しいのに氷など入れてみた。

 食べてみると、酸っぱくて美味い。ノンフライ麺もうまいこと戻ってシャキシャキと美味しい食感だ。スープの脂を少なめに作ったのも功を奏し、これまでの5つで始めて電子レンジに逃げることなく完食することが出来た。

冷たいカップ麺、勝利の方程式が証明されたのだ。

NL3+ − 脂質 + 酢 = 勝利
(ただし、NL3の脂質は10g未満の場合)

ごちそうさま。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

水で作ったカップ麺も、モノによっては美味い。

 モノによっては冷やしで食べても美味い。液体スープにラードなどが入っている場合、それを全部スープに入れちゃうと美味しくない。固まった脂は不味い。

 脂質が大体10gを下回るカップ麺だと、水でも比較的美味しく食べられるようなので暑い日は水で作って食べてみるのも一興だと思う。氷を浮かべてキンキンに冷やしても良いだろう。

冷たいカップ麺を美味しく食べるには?
・脂質10g未満のカップ麺を選ぶ。
・液体スープの脂は入れないようにする。
・酢やごま油を足すと美味い。
・5分ごとくらいに試食して麺の固さをチェックする。

カップ麺なのに作るのに時間が掛かる。スローフードだ。

 
 
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