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ロマンの木曜日
 
喫煙セラピー
1本どう?

どうしたことか、4年間続いていた禁煙が途絶えてしまった。ここ最近はタバコとライターを常備していて、隙あらばタバコを吸っている。すっかり「タバコを吸う人」に戻ってしまったのだ。4年前、「禁煙セラピー」を読んで禁煙に成功したのに、4年経ってまた吸うようになってしまうとは、我ながらびっくりである。人生は何があるか分からない。

しかし、ここで禁煙の失敗を悔やんでも仕方ない。腹をくくってタバコとうまくつき合う方向で折り合いをつけた訳であるが、周囲を見渡すと喫煙者の数が本当に少ない。仲間がいないという事は、とても淋しい事である。なので、仲間を増やす方向でがんばりたいと思った。吸わない人にタバコをすすめる、「喫煙セラピー」である。

最低な行為だとは薄々気付いていますが、R20ということでよろしくお願いします。

 

(text by 住 正徳



旅の最中に喫煙の素晴らしさをプレゼンする

非喫煙者に喫煙をすすめるにあたり、「旅の開放感」を利用する事にした。旅に出ればそこはもう非日常。普段吸わないタバコに手が伸びても不思議ではない。「旅は道連れ世は情け」ということわざだってある。旅行も喫煙も、道連れがいれば尚楽しいのだ。


道連れ

去る10月7日は当サイトの5周年記念であった。その記念イベントの1つ、「風船を追って」という企画に参加させていただいた。当サイトのライター藤原君とペアを組んで愛知県岡崎市を目指したのだ。その様子は「風船を追って(まとめ)」に詳しいので時間のある方はご参照いただきたい。

この機会を利用して喫煙セラピーを実施しようと思う。

藤原君は現役の大学3年生で21才、今までに一度もタバコを吸った事がないという。ご両親も友だちも、藤原君の周囲には喫煙者が全くいないらしく、喫煙に対する免疫は一切ない。道連れとするにはかなり高いハードルである。更に、反射神経で会話をする僕とは違って、藤原君は相当な熟考型だ。二人でいると会話が途絶えがちになってしまう。動かすには手強い山であるが、出来る限りの手は尽くすつもりだ。


喫煙コーナーに案内

名古屋までは新幹線で向かい、名古屋で名鉄線に乗り換えて東岡崎を目指す。名古屋と東岡崎で5周年記念のミッションをこなし、日帰りで東京に戻る予定である。リアルタイム更新の合間を縫って喫煙を啓蒙しないといけないのだ。無駄な時間は一切ない。

イントロダクションとして、藤原君を新幹線のホームの喫煙コーナーに案内した。普段ならまず近寄らない場所であろう。

ここでまず、タバコ広告に書かれている文言を読んでもらった。看板に書かれているコピーのシズル感が素晴らしいのだ。学業とライター業、二足のわらじを履く藤原君である。研ぎすまされた文章にグラッとくるに違いない。


シズル感のあるタバコ広告

「上質な香りに包まれた時間。フィルターが仕立てた、贅沢な時間。D-specがもたらす、心地よい時間」。いずれも一服を味わう「時間」にスポットを当てた名コピーである。

「どう? グッと来た?」
藤原君に聞いてみた。

「特に…」
「上質な香りと贅沢な時間だよ。グッと来るでしょ?」
「…特に何も」

お前は沢尻エリカか? と問い正したくなるほどの一言解答である。


隣りで上質な香りを演出

……

隣りでおいしそうに煙をこよらせてみても、藤原君は全くの無関心である。

まあまあ、ここまでは軽いジャブに過ぎない。アイドマで言ったら、アテンションの段階だ。タバコの存在を「知ってもらう」事には成功しただろう。名古屋までの2時間でインタレスト(興味関心を持ってもらう)、ディザイア(共感してもらう)と持ち込み、帰る頃にはアクション(買ってもらう)へと導く予定だ。


喫煙席で移動

喫煙オーライ

僕たちの乗る喫煙車両は最後尾。やはり時代の流れは喫煙者排除の方向へと向かっているのだ。

そういうネガな要素に藤原君が気付いたら大変だ。

「おお、新幹線の最後尾格好いい!」
とはしゃいで見せる。

なにしろ、ここからが正念場なのだ。


 

 
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