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ちしきの金曜日
 
特別牛乳を飲みに大人が一人で行く「こどもの国」
 


最近はひと昔前と比べると、スーパーの牛乳売場にかなりたくさんの種類の牛乳が並ぶようになったと思う。それぞれさまざまな特徴を消費者に訴えているのだろう。

 それでもまだ世の中には、普通のスーパーでは見かけない牛乳がある。「特別牛乳」というのをご存知だろうか。

 商品名というわけではない。正式にそういう種類別の牛乳があるのだ。かなりレアな牛乳であるようなのだが、関東では横浜市にある「こどもの国」で飲むことができるらしい。

 これは気になる。実際に飲みに行ってきました。

そういうわけで、「ほんとに特別な『特別牛乳』を飲みに行く」という記事にするはずだった今回の記事。企画の趣旨も編集部に伝え、ゴーサインももらった。まあ実際に飲んできたので、それについてもレポートする。

 ただ、取材に行ってみたところ、別に書きたいと思うことが湧いてきた。そういうわけで、牛乳のことについても書きつつ、タイトルを変えてお送りします。

 

小野法師丸



●名ばかりではなく、ちゃんと特別な「特別牛乳」

 内なる葛藤はちょっと置いておいて、まずは「特別牛乳」の話をしよう。

 先にも書いた通り、「特別牛乳」というのは商品名ではない。牛乳売場で売っている牛乳関連の飲み物には、「種類別」なるものが表記されていて、まさしく「牛乳」の他にも、「乳飲料」「加工乳」といったものがあるのは見たことがあるだろう。

 その種類別に、あまりなじみがないかもしれないが、「特別牛乳」というくくりがあるのだ。


大人一人の入場券
緑が美しくてとってもいいところ

 それを生産していて飲むことができるところが、横浜市にある「こどもの国」。現在、特別牛乳を作っている施設は全国にも数ヶ所ほどしかないらしい。

 この特別牛乳、生産者側の思い入れで勝手に名付けられるものではない。施設の認可や殺菌方法など、省令に定められた規格に従った製造されたものでないと名乗れないのだ。


割とカジュアル

 そんなレアな、まさに特別な牛乳であるわけだが、園内の様子からすると決してお高くとまっている風ではなさそうだ。ここで販売している特別牛乳「サングリーン」をアピールする看板も、かなり親しみやすく愉快な雰囲気。


ヨシフジコと書かれていた牛
問答無用のかわいさで迫ってくる子牛

 特別牛乳を作っているのは、正確には「こどもの国」内にある「雪印こどもの国牧場」という牧場である。牧場であるからもちろん牛舎もあって、特別牛乳を生産する牛もそこにいる。

 左の写真は「ヨシフジコ」と名づけられていた牛。他の牛が「リン」や「ミー」といった響きの名前がつけられているのに対して、彼女は「ヨシフジコ」。むしろグッと来る気もしてくる。

 そして彼女たちが出したお乳が、特別牛乳となるのだ。


スペシャル感あふれるアピール
そう言われると飲みたくなる

 売場の近くでは、そのレア度をアピールする掲示も目についた。「特別牛乳」という響きそのものに加え、関東首都圏でただひとつと畳み込まれると、たまらなくなる。

 では、購入して飲んでみよう。


「種類別:特別牛乳」の表記が誇らしい

 パッケージの表示には、乳脂肪分3.8%以上など、牛乳についての情報がいろいろと載っているが、注目すべきは「殺菌:63℃〜65℃ 30分間」というものだろう。普通の牛乳は、もっと高い温度で数秒という具合だと思う。

 味わいは、思ったより濃いという風ではなく、むしろさらっと飲めてしまう感じ。ただ、後味が普通の牛乳とは違うような気がした。

 抽象的な言い方になってしまうが、より「お乳(ちち)」っぽい、という感じだろうか。おいしくいただきました。


この牛乳を使って作られたソフトクリームもうまい
このコップで自分自身に気づかされることに

 そういうわけで、特別牛乳についてはおしまいで、ここから先は内面的な話になります。

 写真にもあるように、牛乳を買ったら紙コップをつけてくれた。店の人が「いくつ要りますか?」と聞いてきたので、「ひとつください」と答えたのだ。

 「えっ?」と聞き直す店員。「ひとつでいいの?」と言いたそうな、意外そうな表情。

 「ここはこどもの国だよ、大人が一人でなにやってんの?」

 もちろんそんな風に言われたわけではない。しかし、店員の表情を見た自分が自分に心の中で投げかけた言葉ではあるのだ。次ページでは、そんな心の旅を綴ります。


 

 
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