最終日:花咲港へ
そして迎えた3日目の朝。昨日とはうってかわって天気は快晴。淀みのない青い空。昨日の根室は荒涼とした最果ての町に見えたが、今日の根室は穏やかな港町だ。
昨夜のうちに飛行機も取れた。電車で釧路まで移動して、釧路空港から羽田行きの便に乗るのだ。
根室からは根室本線に乗れば釧路までいけるのだが、次の電車までまだ数時間あったため、バスで花咲まで先回りすることにした。花咲ガニで有名な、花咲港を見てくるのだ。
花咲港でのお昼はもちろんカニだ。僕はカニご飯、大北君はカニカレー。大北君があのメニューの中でなぜカレーを選んだのかはよくわからないが、カレーが甘いと愚痴っていた。甘いとかそういう問題なのか?
根室本線へ
お昼を食べ終わると、徒歩で花咲駅に向かう。
べつに景色を楽しもうと思っているわけではなく、ただ単に交通手段として歩いているだけなのだが、こちらの事情にかかわらず北海道の景色はむやみに雄大だ。目の筋肉の東京では使わない部分が刺激されるのを感じながら、30分ほどで根室本線花咲駅に着く。
出発前に、ネタ探しの一環として「鉄道でめぐる北海道」というような本を読んだのだが、そこでイチオシされていたのがこの根室本線だ。景色がいいらしい。ここから電車に乗って、一路釧路へ。語感がいいのでもう一度言おう。一路、釧路へ。
道東コネタ:駅が電車
さてこの花咲駅、何を隠そう、電車だ。駅が電車。古くなった電車を利用して駅舎が作られているのだ。電車といってもタイヤや機械部分はほとんど取り除かれているのだが、建物の形状と規則正しく並んだ4つの窓は、紛れもなく電車のそれだ。
電車を利用した駅舎は、花咲〜釧路間で4駅ある。どの駅もその土地にちなんだイラストが描かれていて、乗客の目を楽しませてくれる。珍しい駅舎につられてうっかり電車を降りてしまいそうになるが、一度降りると次の電車まで数時間待つことになるので、要注意だ。
根室本線に揺られて
別名を花咲線とも呼ばれるこの路線、道東の大地を駆け抜ける、1両編成のワンマンカーだ。平野あり、森あり、海あり、移り変わっていく景色は、鉄道ファンでなくても、旅行者としても一見の価値ありだ。
旅の疲れもあってウトウトしつつ、はっと目覚めると外の景色がさっきまでと変わっている。あわててシャッターを押し、しばらくするとまたウトウトしてしまう。このゆっくりした時間の流れが、この小さな電車の包容力なのだろう、と思った。
釧路へ
二時間半ほどで釧路へ到着。駅前にはビルが立ち並ぶ。中標津→根室→花咲→釧路と移動して、ずいぶん都会にやってきた感じだ。
この日、釧路空港から東京に帰る予定だが、飛行機まではまだだいぶ時間がある。釧路でコネタを探しつつ、飛行機までの時間をつぶすことにした。
たくさん並んだ具を選んでその場で入れてもらう。
道東コネタ:勝手に具を選べるどんぶり
釧路駅から徒歩5分くらいのところにある和商市場には、「勝手丼」という丼がある。丼に入ったご飯と、具の海鮮が別々に売られていて、文字通り「勝手に」自分で組み合わせて、オリジナルの海鮮丼を作ることができるのだ。
丼を持ってウロウロする姿はちょっと間が抜けた感じがするけど、釧路港で取れた新鮮な海鮮たちを活かすも殺すも自分次第かと思うと、そんなことに構ってはいられない。
僕は小盛り、大北君は普通盛りでオリジナル丼作りに挑んだ。結果は下の写真をどうぞ。
そして旅は終わりに
釧路でコネタ探しを続けるつもりだったが、長旅の疲れもあってあまり活発には動けず。途中からはコネタもあきらめ、適当に時間をつぶして最後の数時間を過ごした。お土産屋をぶらぶらして、喫茶店で一休みして、夕食。そしてバスに乗って空港まで行って、さよなら道東だ。
さよなら道東
コネタを探しながらの旅は、けっこう大変だ。記事を書かなきゃいけないプレッシャーもあるし、たとえ観光地に行っても、旅行気分ではいられない。
とはいえ、東京にもどってから、こうやって写真の整理をしたり、旅行記風の記事を書いてみたりすると、いろんな楽しかったことがよみがえってくる。ああ、これはこれで楽しい旅だったな、また行きたいな、という気分になるのだ。旅ってふしぎなものだ。
飛行機に乗る通路の窓から。バイバイ!