クリスエンジェルというイリュージョニストがいる。その人の得意技が空中浮遊なのだが、彼は街で偶然会った人を浮かせちゃったり彼自ら飛んでったりしちゃう。もうむちゃくちゃなのだ。初めてその映像を見たときには素直に「すげえ」と思ったが、あれ実は条件さえそろえば僕にもできるんじゃないか。その条件と浮遊例のいくつかを紹介したい。
(安藤 昌教)
難しく考えないことだ
その条件とは、まず静止画であること。おっといきなり何言ってんだこいつ、な感じだが、まあ見てほしい。
な、浮いているだろう。あと一つ、条件というかこれは撮影方法なのだが、できるだけシャッター速度を速くして被写体ぶれを防いだほうがよい。そうすることで空中で止まっているように見えるのだ。それからセルフタイマーでシャッターの切れるタイミングを完全に読むことも必要だ。こういう撮影は趣旨を説明しにくいので、人に頼むよりもセルフタイマーで自分撮りしたほうがやりやすいのだ。
疑うよりもまず次の例を見ていただきたい。
座ったままちょっとだけ浮いていた僕はそのまま浮かび上がり空中でくるくる回り始めた、の図。まさにイリュージョンだ。
あとなるべく表情を崩さないこともコツの一つだ。こんなの当然だからおれ、みたいな余裕を表情から読者に伝えたい。
これを応用すると石とかも浮かせられる。右手に何か持っているように見えるので実はこれがトリックなのではないか、と疑われるかもしれないが、種明かしをするとこれはデジカメのリモコンだ。まあトリックの一部ではあるが全てではない。
精神を解き放て
まだ読んでくれてる人いますか。そしたら次は木の上から座ったままふわふわ浮かんでそのままどっか行っちゃう人、だ。表情は自然に、シャッターは速めに、周囲に人のいないことを確かめて。
君も教祖だ
かつて宗教家はそのカリスマ性を世に知らしめるため座禅を組んだまま宙に浮いたりしていたが、静止画ならば僕にだってできる。
この企画、いま書いていて前にどこかで見たことあるなと思ったのだが、空部だ。でもあれは首とか抜けていたから斎藤さんはさらに先を行っていたのだと思う。
もはや手品ではない
どうだろう、空中浮遊できていただろう。イリュージョンって仕掛けは結構単純だったりするらしい。要は見せ方なのだ。そう、僕が言いたかったのはそこです。もっともらしい結論が出たので終わりたいと思います。これからクリスエンジェルのイリュージョンを見たら僕を思い出す、という呪いかけでもあります。