母とちくわと土曜日の昼
子供の頃、土曜日の午前中の授業を終え、家に帰って母の作るお昼ご飯を食べるのがとても楽しみだった。
特に母が作る「赤いスパゲッティー」が大好物だったのだが、どういうわけか我が家の赤いスパゲッティーには「ちくわ」が入っていた。
そのちくわがとてもおいしかった記憶がある。
ふつうに考えると、スパゲッティーにちくわを入れるというのは、ベーコンが買えない時のメニューである。
けれども僕は、ハムやベーコンが買えないほど貧しい家庭で育ったというような記憶はない。
もしかしたら母のそういう創意工夫に満ちたやりくりで、僕に貧しさを感じさせないように育ててくれたのだろうか。
それとも母が大のちくわ好きだったのか。 |