われながらなかなかの完成度だと思う。これならば一度入ってみようかという気にもなるだろう。
改良版捕鼠器には「数子」という名前を付けた。玄関となるギロチン扉には「ようこそ!」と表記されていて、来るものを拒まない。ところで機能面に問題はないだろうか。
ためしに内部に仕掛けた餌を棒で触ってみる。
「ばちーん」という音と共にギロチン扉が高速で閉まり、扉と連動したバネが壁と屋根を真上に吹き飛ばす。平和な我が家が一点地獄と化した瞬間だ。閉じ込められたネズミはここでこれがトラップだということに初めて気付くだろう。しかしもう遅い。
その後怒りと悲しみに暮れたネズミを慰めるかのように電池ボックスのスイッチがオンとなり、数子はちかちかと光りだす。本当は音楽も流れたらいいところだ。これならばネズミも次の朝、写真を撮られるまでゆっくり過ごすことができるのではないか。 |