笑顔を認識するとシャッターが切れるデジタルカメラを買った。ソニーのサイバーショットT70だ。
今まで自分撮りをするときはセルフタイマーをセットしていたが、このスマイルシャッター機能を使えば自由に撮影するタイミングを操ることができると思った。
ちゃんと笑顔になれればの話だが。
(text by 藤原 浩一)
まずは公園に
まずはためしと近所の公園に来た。日曜の昼間なので親子連れがいっぱいいる。
三脚を立ててスマイルシャッターモードにする。しかし、どうもシャッターが切れる様子はない。うまく笑顔が作れないのである。
セルフタイマーなら10秒で撮れるような写真なのだが、10分くらいカメラに向かってニヤニヤ〜とか、エヘっとかしてようやく1枚撮ることができた。
何もおもしろおかしいことがないのに笑うというのは難しい。日曜の公園でそれをやれというのならなお更だ。
「一体何をやっているのだろう?」と思ったのは、公園にいた親御さんではなく、僕自身である。
ここまで到達する悪戦苦闘の経緯こそお伝えしたいのだが、その部分は撮影することができなかった。何故なら撮影するので精一杯だったので。禅問答。
別の公園へ
先ほどの公園での失敗を反省するに、まず周りに人がいて笑顔になり辛かったことが挙げられる。
一人で笑ってるところを撮影するなんて何ごとだ? と思われている気がしてならかった。
なので今度は人気のない公園に行った。
ふたつ目の要因として、笑顔になる要素がなかったことだ。何もないのに笑えと言われても難しい。
というわけで、たまたま近くでお祭りがやっていたのをいいことに、フランクフルトを買ってきた。これでバッチリだ。
地面にピントがあってしまった。
早速公園の奥のほうのベンチで撮影を始める。スマイルシャッターモード、起動!
先ほどと比べて自然に撮れた。「自然」というのは写真に写った僕のことではなく、撮影の過程のことだ。
あっさりとシャッターが下りてくれた。やはり人の目というのは、心理的に影響を与えるものが大きいのだろう。やればできるじゃんと思った。カメラに対しても、自分に対しても。
・・・と、そのときだった。
という小芝居もできるようになったわけだ。小芝居になってないけど。笑顔にも少しなれてきた気がする。
顔が白っぽかったりするのは、スマイルシャッターの仕様のせいだと思う。スマイルシャッターをオンにすると、オンにした時点の焦点や明るさが固定されたままになるからだ。
もう少し足をのばしてみる
近所での実験はこれくらいにして、もうすこし足をのばしてみることにした。
ひとまず駅へ。電車に乗るシーン用に駅のホームで自分撮りをしようと思ったのだが、公共の場所にて笑顔で自分撮りというのも難しい。結局撮り損ねた。
そのあと偶然友達と出会ったので、もういちど試してみた。
公共の場所と言えども友達がいると気分が大きくなってしまう、ということがデジカメというデバイスを通してわかりますな。
続いてバイトに行った。
バイトに遅刻して行ったら社長に怒られた。
「なんかバイトに、うっかり遅刻して行ったら、どういうわけか社長に怒られた」という感じだ。笑顔せいだ。反省しろ>俺、と思う。
そのあとはだいたいまじめに仕事をしたので無問題だ。
無問題と言ったが、どう見ても問題ありだ。
難航会議
最後にニフティでの会議の様子をスマイルシャッターを使った写真で紹介したい。
その日、会議は難航していた。
なんというか・・・
・・・
やっぱり難航しているようには見えませんな。全部こっちむいてるし。
笑顔の写真はいい
このスマイルシャッターは楽しい集まりでわいわい使うのにジョリーグッドな機能だ。というか何人かいる場所で使うと楽しい集まりのように見えてしまう。
デジカメってもう劇的に進歩しないのかなと考えていたが、こういう方向があるのかと思った。
こんどは真顔シャッターというのを作って欲しい。自分撮りに超使えると思う(まだ言ってる)。