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フェティッシュの火曜日
 
勝鬨橋の橋脚内部に入る

でも、橋脚内部……ってどこ?(クリックで橋脚を明示)

  隅田川には歴史ある橋が多くかかっている。 その中でも勝鬨(かちどき)橋という橋は、 他の橋には無いスペシャルな特徴を持つ橋だ。

なんとこの勝鬨橋、橋の中央部分が跳ね上がるようになっている、跳ね橋なのである。

あ、いや、今はもう跳ね上げられないようになっているので 正確には跳ね橋と言えないのかもしれないが、 その橋脚内部には現在も橋を跳ね上げるための機関が残っているらしい。

先日、その機関がある橋脚内部を見学することができるという話を聞いた。 隅田川橋梁群をこよなく愛する私としては、 これは見ておかねばならんだろうと思ったのだ。

木村 岳人



築地へ行こう、勝鬨橋を見よう

勝鬨橋は築地市場のすぐ近く、歩いて数分のところにデデンとある。 隅田川にかかる橋の中で最も河口近くにあるこの勝鬨橋は、築地と月島を結ぶ交通の要所。

元は昭和15年に月島で開催される予定だった東京万博のメインゲートとして、 昭和8年に建設が始まったのだそうだ。 しかし、戦争によって東京万博はぽしゃり、 結果、勝鬨橋だけが昭和15年に完成したとのこと。


勝鬨橋入口 橋はなんとも素敵な構造体

それから現在まで、勝鬨橋は築地のシンボルとして人々に親しまれてきた。 今年の6月には、同じ隅田川の橋である清洲橋や永代橋と共に重要文化財に指定され、 今後もずっと保存されていくことになった。

しかし、いやはや。そんな理屈抜きにしても、やっぱり良い。 橋の両脇に構えるアーチのカーブ。それを支える柱。 無骨な鉄の塊が織り成す直線と曲線の美とでもいったところか。

溶接ではなくリベット接合なのも良い。規則正しく打ち込まれた無数のリベット。 う〜ん、これはもう芸術の域だと思う。素敵過ぎる。


親のカタキと言わんばかりに打ち込まれたリベットたち この辺りがかつて跳ね上がっていた中央部分

 

跳ね上がれ勝鬨橋

先ほども述べた通り、勝鬨橋は跳ね橋である。 昔は定期的に橋を開き、船を通過させていたそうだ。


勝鬨橋の中央部分が…… こうパカっと開くんです(模型)

勝鬨橋が造られた昭和初期は隅田川に入ってくる船も多く、 1日に5回も開閉していたそうなのだが、 交通が船から車に変わっていくにつれその回数は徐々に減少、 昭和45年には完全に跳ね上げがやめられてしまった。 今はもう開く部分が固定されており、 電気も通っていないため開くことはできないそうだ。

実は現在、勝鬨橋をもう一度跳ね上げようという動きがあるらしい。 しかし、設備を直すのに膨大な資金がかかるため、 その実現はなかなか難しいようだ。

でも、やっぱり勝鬨橋が開くのだとしたら、見てみたいなぁ。


ここが勝鬨橋の中心 こんな感じ

ちなみに勝鬨橋の開く部分。 その中央には切れ目が入っており、川の水面が見えている。 ここから左右にパカっと開くのだ。

現在この開閉部はロックされているが、 それでもここに立つと、車が通るたびに橋がぐらぐら揺れるのが良く分かる。 これは他の橋には無い跳ね橋ならではの感覚だろう。 ホント、ぐらぐら揺れるので、立っているのがちょっと怖くなるぐらい。

 

それでは、見学会へ

さて、そろそろ橋脚内部の見学会が始まる時間だ。 見学の受付は勝鬨橋の築地側たもとにある「かちどき橋の資料館」で行う。 ここで昇降器具用の安全器具とヘルメットを身に付け、橋脚内部に向かうのだ。

ちなみにこの見学会、往復はがきによる事前申し込みが必要なのでご注意を。


かつて勝鬨橋の変電所であった「かちどき橋の資料館」 中は以前使われていた設備がそのまま残っている

このかちどき橋の資料館は、勝鬨橋へ電気を送るための変電所を改装して 2005年にオープンした施設である。

ここには勝鬨橋に関する様々な資料の他、 勝鬨橋の開閉が行われていた当時に使われていた発電機や配電盤がそのまま残されており、 工業的なモノ大好き人間としては興奮せざるを得ない展示となっている。


問答無用のカッコ良さ あぁ、もうたまらんです

それにしても、たいしたものだ。

こじんまりとした資料館ではあるが、 このように古くも美しい機械たちが残されていることには感動を覚える。 勝鬨橋が停止してから今まで、良くぞ残してくださった!という感じだ。


高電圧配電盤 配線に心ときめく

興奮して配電盤を撮影していると、 資料館のおばちゃんがやってきて配電盤裏側へと通じる道を開けてくれた。 そこは普段は立ち入り禁止のロープが張られている場所なのであるが、 「興味ありそうな人には見せているんですよ」とのこと。

お言葉に甘えて配電盤の裏側へ回ってみると、 そこには、おぉ、表より断然凄い空間が。 おばちゃんありがとう!


高電圧配電盤の裏側 素敵すぎる

そうこうしているうちにお呼びがかかった。 そろそろ見学会を始めるということだ。 ちなみに私が参加したこの時の見学者は私を含めてわずか2人。 対して、橋脚内部を案内してくれる係員の方々は5人であった。

何か凄いぞ、この見学会。


 

 
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