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はっけんの水曜日
 
黄身だけプリンをレシピ通り作る
今日の参考文献。「スペイン熱い食卓」。ホントに熱い。


スペイン料理のレシピは凄い。

今日は僕が持っているスペイン料理の本の中で、ひときわすごいメニューを作ってみたいと思います。

10年前に一度作ったんだけど、レシピ通りに作る勇気が無かったんだ。

(text by 松本 圭司

美味しそうな写真と名前。作ってみたくなる。しかし、

卵黄12個って。卵白どうすんだよ。

■今回作るのは黄身だけプリンです

 さて。今回作るのは黄身だけプリン。普通、プリンってのは全卵(黄身と白身)と牛乳で作る。材料を混ぜて耐熱容器に入れて蒸したり、オーブンで焼いたり(当然水を張ったバットに入れる)。

でも、そこを黄身だけで作ってしまうのだ。白身も牛乳も無し。黄身だけ。

見間違いかと思って何度もレシピを確かめても、やっぱり黄身だけ。マジで?

しかも、玉子12個分。ホント?お菓子作りではこんなの普通?

 前に作った時は、この「12個分の卵黄」っていう記述だけでクラクラしてしまった。いや、無理だろ、と思って確か4つ分くらいで作った覚えがある。それだってかなり「うわー、うわー」と思ったのだ。

どうすんだよ、卵白4つ分とか、なんてひるみまくって調理した。

 で、やっぱりというか、そんな中途半端な気持ちで作った黄身だけプリンはスが入っちゃっていまいち美味しくなかった。濃い味の卵焼きって感じだった。

だから、今度こそは本気でレシピ通りに作ることにした。10年越しのリベンジだ。

 

卵黄だけ12個分。街のお菓子屋か、オレは。

■卵黄を12個分取り出す

 玉子がお高い昨今。12個の玉子を一気に使うなんてありえない。でも、今日はがんばるって決めたんだから、12個使うのだ。

ファイト!ってキモイですかね、31歳オッサンのこんな文体。

 なにはともあれ、12個の玉子を次々に割って黄身と白身に分けた。黄身の中の2個が妙に濃い色なのだが、これはちょっと良い卵なのだ。10個で50円くらい高い。1個5円の差で色も弾力も違って驚いた。

違うわねー、お高いのは、なんて思った。たった5円の差だが。

三角コーナーが殻でいっぱい。妙な罪悪感がある。

 

400mlの卵白。卵白でも良い、たくましく育って欲しい。ダジャレが書きたかっただけだ。笑ってくれなくていい。

■どうすんだよ、この白身

 ところで、当然手元には今、玉子12個分の卵白が残っている。こんな大量の白身、初めて見た。

 アスリートならこれを一気飲みしたりするのだろうか。「室伏の!ちょっといいとこ見てみたい!一気!一気!一気!」なんて言われて白身一気。

・・・うーん。

 一気飲みはちと無理だ。僕には。卵料理ならいくつか知っているが、卵白料理はあんまり知らない。メレンゲ作るったって限度がある。長靴いっぱいのメレンゲが出来てしまう。

うーん、困った。

しょうがない、焼くか。

あとで焼いて食べることにしよう。

 

耐熱容器に半分くらいのグラニュー糖。マジでこれ入れるの?

大さじ2杯分でカラメルソースを作ります。容器に入れたら固まったよ。もはや、飴。

■白身は放っておいて、カラメルとか甘味とか作るか

 白身の話はここいらでよかっぺか。要するに、後でスタッフが美味しくいただきましたという話だ。話を黄身だけプリンに戻そう。

黄身だけ12個分って分量もすごいのだが、ここにグラニュー糖180gが入る。

 まずはカラメルソース分のグラニュー糖を大さじ2杯鍋に入れて熱する。焦げ茶色のカラメルソースが出来たらプリンの容器に入れる。冷えると固まって飴みたいになった。

つまみ食いしてみると、焦げ苦くて美味い。なかなかうまく出来た。


 次に、残りのグラニュー糖で蜜を作る。水3/4カップと大量のグラニュー糖を鍋で熱する。色が少し変わって粘りが出たら出来上がり。

 粗熱を取って黄身と混ぜる。この時、多分グラニュー糖汁の温度が高すぎると黄身が固まってしまうので注意が必要だ。

 卵黄汁に混ぜたらグラニュー糖汁が固まって飴になってしまった。うーんと思いつつ、頑張ってどうにか溶かした。

という訳で、甘い黄身汁とカラメルソースが出来上がった。

 

■じゃあ焼きましょうか


真っ黄色のプリン汁。未知の粘度。果たしてうまく焼けるか?

 プリン汁が出来たらあとは焼くだけ。200℃のオーブンで20分くらい焼いた。当然天板には水を張る。水がないと卵焼きになっちゃうからね。

 

■プリンが焼けるまで、白身が焼ける様子をお楽しみ下さい


ゲルと固体を行ったり来たりする白身。輪廻。

 透明になったり、白くなったり。焼いた白身は塩を掛けて食べたら美味かったよ。そういえば僕は黄身より白身の方が好きなんだった。

そろそろプリン、焼けたかな?

■焼けた!焼けた!


思いの外綺麗に焼き上がった黄身だけプリン。10年間の怨念が浄化されていくような思いだ。

さぁ、食べよう。

 

ずっしり重い黄身だけプリン。色調補正とかしてないですよ。

なめらかプリンの対極にあるしっかりプリン命の塊。

■すんごい濃厚な味

 プリンにナイフを入れ、フォークで持ち上げた。普通のプリンと違って、形を崩すことなくスーッっと持ち上がる。うん、固い。

 食べてみると、口の中に黄身の香りと濃厚な、こういうのをコクっていうのだろうか、美味しさが広がった。

うわー!すげー!黄身やぁ!黄身やわぁ!!

インチキ関西弁まで飛び出す始末だ。

 固さは羊羹的。黄身っぷりは和菓子の黄身しぐれ。いや、黄身しぐれよりも更に黄身だ。そりゃそうだ、黄身だけだもの。

 グラニュー糖を山盛り入れたのに、甘さは丁度良い。これは冷えてるせいだろうな。

 昨今のなめらかプリンブーム(ブーム?)に三石くらい投じるしっかりプリンである。まさに対極。プリンなのにスプーンの上でまったくぷりんぷりんしない始末だ。

これ、プリンか?

しかしそんな事はどうでもいい。美味いから。

 1/8を食べてすっかり満たされてしまった。これってきっと、体が「もう栄養は十分っす!」って判断したからだろう。滋味溢れるすごいプリンだと思った。

そして実はもう一つプリンがあるのだ。

 

焼きプリンになりました。焦げた白身の匂いが美味そう。

■白身だけプリンも作った

 焼いて食べるにも限度があるので、余った白身でプリンを作ってみた。牛乳、白身、砂糖を適当に混ぜた。レシピは超適当。

 わりとうまく出来たようで、食べてみると案外美味い。プリンと言うよりはゼリー的な食感。やわらかくてプルプルだ。かなりプリン。甘さも意外に丁度良い。

 だがしかし、なんだかちょっと空白感を感じる味で、ああ、黄身が足らないなぁと思った。過剰と不足。白身だけプリンを食べながら、「普通に全卵で作る方が美味いんじゃね?」とか、記事を全否定するような事を思ってしまった。


黄身だけプリンより焦げが少ないカラメルで。

黄身だけプリンは黄身の羊羹だ

 今回はレシピ通りに黄身だけプリンを作ることが出来た。初めて作った時よりも美味しく出来上がって満足だ。お菓子作りは、やはりレシピ通りに作るのが肝要なのだと思った。

 しかし卵黄12個だ。きっともう黄身だけプリンを作ることはないだろう。だって、作ると漏れなく白身だけプリンも作る羽目になるんだもの。

 おまけに冷蔵庫に入っている黄身だけ、白身だけプリンを見るたびに、なんだかそれだけで腹が膨れてしまうのだ。傷む前に食べきれるだろうか・・・・。

他のメニューも作った。オリーブオイル1/4カップ使ってるよ。

■参考文献
スペイン 熱い食卓―本場仕込みのやさしい家庭料理
おおつき ちひろ(著)
文化出版局
ISBN: 4579205030


 
 
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