神谷町〜三田 世の中から弾かれはじめる
石川
午後1時すぎ。このあたりからだんだん辛くなってきた。水分ばかり摂っているせいでおなかがいっぱいなのだ。
「これうまいよ。ちょっと飲んでみて」なんていって大北くんに自分の酒を飲ませたりしていた。
酔いもかなり回ってきた。酒を買うとき、店員に対して「酔ってませんよ」みたいなフリを意識しはじめている自分に気づく。
店員も「酔ってるでしょ」なんて疑ってないと思うのだが、自意識からついつい「領収書お願いしますね」なんて過剰にはきはきした口調で言ってしまう。
酔ってません、なんて自分で言うのは酔っ払いだけだ。
大北
変わったビルがあったので「これなんですか〜?」と警備員に聞いた。そのフランクさに自分でも驚いた。警備員はしかめっ面。
慶応大学では学園祭だったようでミス慶応を掲載したパンフレットを配布していた。ミスケイオー!ミスケイオー!と赤ら顔ではしゃぐ。大学生へらへら笑う。
大学前の和菓子屋の豆大福はすごくうまい。が、なぜかお店のお母さんの顔がこわばっていた。
この時間から飲むと世の中から浮く、ということが少しずつ分かってきた。何事も勉強ですね、福沢先生。
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