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ロマンの木曜日
 
そういえばリニアはどうなった?

橋だけは見たことある

  中央高速を通って山梨県から富士山の方に向かうとき、高速の上に10年くらい前にできたリニアモーターカーの実験線の橋が架かっています。

僕も何度か通ったことがありますが、そういえば本物が走っているところを見たことがありません。今でも実験は行なわれているのでしょうか。

実際のところどうなのか、見に行ってみました。

萩原 雅紀



いつの間にか未来だった

僕らが子供の頃から「未来の乗り物」と言われていたリニアモーターカー。

しかしひとくちにリニアモーターカーと言ってもその種類は様々で、例えば都心を走っている大江戸線もリニアモーターカーの一種だった、なんて知識としては頭の片隅にあっても、普段乗る時には意識しないですよね。

浮上式のリニアモーターカーも「リニモ」や「上海トランスラピッド」でとうとう実用化され、僕らはいつの間にか、あのころの未来に片足をかけるところまで来ていたようです。

しかし、かなり昔から計画されていた「リニア新幹線」だけは、なかなかその話が現実味を帯びてこないような気がします。

経済的な問題とかいろいろあることは承知していますが、今日は「ロマンの木曜日」。難しい話は置いといて、実際にいま山梨県の実験線はどうなっているのか、リニアモーターカーは走っているのか、走っているならどのくらいの速度でどのくらいの頻度なのか、月イチなのか週イチなのか、いろいろ気になったので見てくることにしました。

ま、一番の目的が「超高速のリニアが見たい!」というのは言うまでもありません。

というわけで、中央高速の大月インターから車で10分くらいのところにある、「超伝導磁気浮上式鉄道山梨実験センター」に隣接した見学センターにやってきました。


のどかな農村地帯の一角に 予想よりこじんまりとした見学センターが建つ

 

7分間隔だった

実はここに見学施設があることは知っていました。ときどき抽選で試乗会を開催していたことももちろん、その抽選の競争率が数十倍の難関だということも、何度も応募して一度も当選しなかったので身をもって体験しています。

しかし走行試験が毎日のように行なわれ、しかも1日あたり十数往復もしていたなんて知りませんでした。


え、普通に週休2日? そのへんの電車と同じくらいの運転間隔

実験線は全長約18kmのほぼ直線。そこを行ったり来たりしているわけですが、中間地点にある駅と見学センターの前を7分から15分間隔で通過しているとのこと。7分間隔って、まさか家の前を走っている南武線より本数が多いとは!

 

いきなりお出迎え

建物の中に入ると、ちょうど場内放送が流れているところでした。
「まもなくリニアが駅に到着します。」
なに、もう動いてるの!?しかも、ちょうど駅に帰ってくるところ!?

あこがれのリニアに会えるというのに、心の準備をする暇もなく、いきなり駅に到着するという貴重な場面が観られるとのこと。
とにかく一目散に、展望室のある3階へ駆け上がりました。


ほ、本物?磁力で動いてるんだよね? 乗せてもらえませんか、金なら払うから

階段を走って、ぜえぜえ言いながら撮った1枚。ちょうどリニアが駅に入ってきたところでした。

あまりにあっけなく対面できてしまったので、なんだか現実感がありません。本当に君、浮いて500キロとかで走るの?

開いたドアの隙間から、人が乗り降りしているのが見えましたが、数分で作業も終わった様子。ドアが閉まり、ふたたびリニアは動き出しました。

一旦実験線の端まで行って、今度は500キロで目の前を通過するとのこと。何というサービス精神。

いや、サービスじゃない。実験です。


ほ、本当に磁力で…?(まだ信じられない) 現在地と速度が分かるモニター

 

リニアすげえ

「間もなく、リニアが時速500キロで通過します。」

リニアが近づくたびに場内放送が入るので、観客の緊迫感も高まります。

展望室には現在の位置と速度がリアルタイムで表示されるモニターも設置されていて、リニアの動きが手に取るように分かります。

しばらく端で停止していましたが、動き出したと思ったらどんどん加速。あっという間に時速500キロを表示しました。

本当に、目の前に500キロでやってくる!


マジかよ…! 速すぎてタイミングが合わない

しゅばぶぉーん…!!

トンネルからヘッドライトが見えた、と思ったらリニアは一瞬、ほんの一瞬だけ轟音を響かせて、あっという間に視界から消えて行きました。速い、速すぎる。

ちょっと、これは凄いものを観てしまった。

考えてみれば、時速500キロというのは旅客機の離陸速度よりも速いわけで、浮いているとはいえ地表を走る物の中ではもっとも速いと言っていいでしょう。

それまでの自分の常識を超えるものを見てしまったときに感じる、圧倒的な敗北感みたいな衝撃を、久々に受けました。

この感覚、ダムめぐりのきっかけになった宮ケ瀬ダムを見たとき以来かも知れません。

この衝撃を今度は直接味わってみたい。展望室はガラス越しなのですが、線路の反対側に屋外の展望台があるので、リニアが戻ってくるまでに行ってみることにします。


展望台からの眺め また失敗

来た!と思ったら、

ぶしゅばぐぉー…!!

と、とても乗り物とは思えない音を残して走り去るリニア。やはり直接感じる音はすごい迫力です。

動画も撮影してみたのですが、なぜかスピード感が再現できません。撮り方が下手なんだと思いますが、実際に感じる速さはこれの比ではありませんでした。

 

見学センターの中は

リニアは時速500kmで実験線を行ったり来たりしていますが、せっかくなので見学センターの中も見てみました。

見学センターは1階が事務所と売店、2階が資料や模型の展示室、3階が展望室という構造です。まあそれほど大騒ぎするようなものもないので、気になったものだけサラッと紹介します。


展示室全景 まあ、ありがちではあるが…
TPOが難しいリニアネクタイ 「リニア讃歌」山梨では有名な歌手らしい

というわけで、リニアは想像したよりもずっと気軽に観られる、身近な存在でした。

今後は実験線を延伸して、実用化に向けたさらに本格的な研究が行なわれることが決まっているようです。


なんとか1枚だけ収まった

そう言えば、山梨県に実験線ができる前は、リニアモーターカーと言えば確か宮崎県で実験をしていた記憶があります。
山梨県で安定した実験が繰り返し行なえるのも、宮崎県時代の試行錯誤の積み重ねがあったからこそでしょう。

では、宮崎県の実験線はいまどうなっているのでしょうか。

気になったので、見に行ってきました。


 

 
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