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土曜ワイド工場
 
折り紙の風船を飛ばしたい
オレがあいつであいつがオレで。


折り紙に”風船”という折り方があるが、あれを風船と呼ぶのは納得いかない。なぜなら、風船の楽しさが感じられないからだ。

ふつう風船といえば、フワフワ浮かんでてそれをピエロとかが子供たちに配ってるような楽しさがあるが、折り紙の風船は浮かばないしピエロも配らない。風船というよりただの”四角”だと思う。

だから折り紙の風船にヘリウムガスを入れて、フワフワ浮かぶ本当の風船にしてやろうと思いました。

(text by 小柳健次郎



折り紙風船と普通の風船の格差問題

折り紙風船と普通の風船の差はひどい。


わたし折り紙の風船。
ワタシ普通の風船。
遠景にすると折り紙風船は小さくしか写らない。

折り紙の風船はそういうのじゃなくて、日本の侘びさびみたいなのを楽しむものだということは分かるが、でもやっぱりバルーンという愉快な響きはふさわしくない。

やっぱり風船はフワフワ浮いてないといけないと思う。

 

折り紙の風船にヘリウムを入れる

だから折り紙の風船にヘリウムガスを入れてフワフワ浮かそう。

寒風吹きすさむ昼過ぎの公園に、ヘリウムガスを持ち込んで実行に移した。


ヘリウムのボンベ。昼間の公園にはもの騒ぎな風体。
折り紙風船の息いれるところからそのまま注入。

本当にただヘリウムを入れただけなので、これで飛ぶかどうかはかなり不安だが、果たして飛どうか。


・・・。

微動だにせず。

ちっとも浮かない。折り紙の風船はただの四角のままだった。


ノーマルタイプのおよそ9倍の大きさ。

大きさの問題か

なぜあの四角は浮かばなかったのか。それはたぶん大きさの問題じゃないだろうか。

浮力とかはよく分からないが、小さいとその分ヘリウムの量が少ないから浮かばないのだと思う。だから大きく作れば浮くかもしれない。

そこで新聞紙を正方形に切って、折り紙の風船にしてみた。これなら飛ぶはずだ。

ヘリウム注入軟膏。
これがヘリウムを入れた状態なんです。

またダメだった。心なしかヘリウムを入れた後のほうが萎んでる気がする。なんでだ。

 

素材か

ヘリウムを注入してて気づいたことだが、折り紙の風船に入れてるそばからどんどん抜けてる気がする。

おそらく紙は隙間が多いから、そこからヘリウムが抜けてるんじゃなかろうか。だったら隙間のなさそうな素材で折ればいいかもしれない。

ビニール〜。

このビニールならヘリウムが漏れることなく、大気圏まで浮いてくれると思う。

これで折り紙の風船を折ってみよう。


まずこう折って(手が赤いのは死ぬほど寒いからです)
こうして、
こうやって、
こう折れば、
ハイ、完成。

ビニールは折り紙に向いてなかった。折ったところでちっとも形をとどめない。無理やり折って出来たのは、なんかクシュクシュの物体。

そもそもこれだと折り紙じゃなくて折りビニールだから、浮いてもそんなうれしくない。透明だし。


説明図。丸と四角だけで描いててすいません。

羊をかぶった狼方式

正直に折り紙風船にヘリウムを入れて飛ばすのはあきらめた。もうすこし頭を使おう。

そこで考えたのが、ヘリウムで膨らませた普通の風船に折り紙風船を被せてしまう方法だ。これならヘリウムも漏れない。

問題は風船の浮力。折り紙の風船を被せても浮き上がるか否かだ。

風船に折り紙の風船を被せてボンベにセット。
プクー。
プクー。あれ?
あー。

折り紙の風船、大破。

浮き上がるか否かとか言う以前の問題。折り紙風船より風船のサイズのほうが圧倒的に大きかった。なんで縦長なんだろうこの風船は。

 

写真を貼る

折り紙風船の写真を風船に貼り付けるのはどうか。


・・・。

・・・・・。

折り紙の風船を透明な糸で風船に吊り上げてもらう。また丸と四角ですいません。

風船に吊り上げれられ方式

こうなったら最後の手段。普通の風船に吊り上げてもらって、折り紙風船を浮かせるしかない。

これは、ヘリウムを入れた普通の風船に折り紙の風船を透明な糸でつないで浮かばせてもらうという、折り紙の風船にとっては屈辱的な方法だ。しかしなりふり構っていられない。

もうこれが考えうる最後の方法なのでどうにか浮いて欲しい。おねがい!


しょーん。

なんだろう。浮いてんだけど浮いてない。風が強くて風船がちっとも定まらないから、どうなのかよくわからない。

でもこの写真からは風船の楽しさとか全然つたわらない。どちらかというとかわいそうだと思う。


夢みたいな写真。
二つ付けたら安定するかと思ったらしなかった。

虚しい気持ちでこのファンシーなよく分からない物体を持ってると、折り紙の風船につけてた糸が外れてしまった。


次元の低い決定的瞬間!

運よく?木に引っかかった。

取るべきか取らぬべきか迷う存在。

という最後でした。

折り紙は家の中でやろう

その後、家の中で吊り上げれられ方式を試したら何の苦労もなくうまくいった。

浮いてるように見える折り紙の風船

外で撮影してるときはものすごく寒くて凍傷寸前で死にそうだったが、家なら風も吹かないし暖かいし、折り紙は家でするものだと気づきました。

でもこれで満足できたわけじゃないので、いつか百個ぐらい作って街を歩きたいと思う。

結局あの風船は親に取ってもらった。私はこの年にして親に風船をとってもらう人です。

 
 
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