デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


はっけんの水曜日
 
小湊が来る!(COOL!)
超リアルな鯛の看板の前で記念撮影。


 千葉県の南房総に「小湊」という小さな港町がある。3年前までは天津小湊町の片割れだったのだが、隣の鴨川市と合併したので今は鴨川市の一部だ。鴨川市には「鴨川シーワールド」があるのでちょっと有名かも知れない。

 小湊は僕の実家がある町だ。最近まで小湊の良さがよく判らなかったのだが、たまに帰るとしみじみと、いいなぁと思うようになった。

 今回はそんな小湊の良さを伝えるべくキーボードを叩いた次第。きっと読み終わる頃には小湊に行きたくなっているだろうさ。

 

(text by 松本 圭司

大きな地図で見る

■小湊はここだよ

 冒頭でも書いたが、小湊は千葉県の南の方にある。高速道路が近くを通っていないため非常に行きづらい。むしろ南端にある館山の方が早く行けるくらいだ。

 電車だと東京から大体3時間くらい。総武線と外房線を乗り継ぐ。特急だとおよそ2時間。今時、のぞみなら90分で東京から名古屋に行けてしまうというのに2時間も掛かるのだ。遠い。

 あんまり良いこと書いてないな。最初はアレでもだんだん良くなるから今は我慢して欲しい。

 

夏は海水浴目当ての観光客で賑わう。

■小湊はこんな町

 太平洋を流れる黒潮のお陰か、冬もある程度温暖で気候が良い。雪は滅多に降らない。夏は海から風が吹くので涼しくて過ごしやすい。夏、ヒートアイランドで暑い東京から小湊に行くと大分涼しいなぁと感じることが出来る。

 日蓮宗の開祖、日蓮が生まれた地としても知られる。町には日蓮が生まれた事を記念した誕生寺、日蓮が生まれた時に祝福した鯛の末裔が棲むという鯛ノ浦、日蓮が修行したという清澄山などがある(※)。ついでに日蓮トンネル、日蓮交差点まであるのだから凄い。日蓮押しの町なのだ。

※…清澄山(きよすみさん)は隣町の天津(あまつ)ですが。

 産業は主に漁業と観光。冬は通りで人に会わないくらい誰もいない町だが、夏になると海水浴目的の観光客で賑わう。正直、海の綺麗さでは天津にある城崎海岸や、少し北にある鵜原、守谷に軍配が上がる。が、駅の目の前が海水浴場でコンビニや無料駐車場も近くにあるという便利さではポイントが高い。

では、小湊のナイスな観光スポットを見ていこう。

 

■まずはやっぱり漁民アパート


クリーム色のところはまだ外壁が残っているところ。白いのが剥がれ落ちた所。

裏側。ベランダからは漁港が見渡せる。オーシャンビュー。

大きな地図で見る

 誕生寺からすぐの場所にある鉄筋の建物である。のっけから崩れそうな建物で、これが観光スポット?と思われるだろうが、こんだけ崩れそうな建物を間近で見られる場所なんてそうそう無いだろう(んなこたないか)。廃墟マニアにも団地マニアにも堪らない建物じゃないだろうか。

 かなり崩れてきていて、建物の下にはネットが張られている。当然建物の直下は危険なので近づいてはならない。

 漁業関係者が住んでいて、昔からみんな「漁民アパート」と呼んでいた。正式名称は知らない。同級生も何人か住んでいたが、今では人は住んでないように見える。数年前から取り壊しの話もあるが、未だに建っている。土地に困っている訳じゃないし急いで壊す必要も無いのだろう。

 ここに住んでいた友達が、家に帰ったらテーブルの上で猿がお菓子を食べていたと言っていた。窓から侵入したのだそうだ。本当かどうかは判らないが、実際小湊には野生の猿が多い。僕も実家の隣の家の屋根の上にいる猿と目が合ったことがある。一瞬お互いに固まった後、猿が逃げていった。

次は、漁民アパートからやや危険な道を抜けて行く日蓮生誕の地を紹介しよう。

 

海と崖に挟まれている遊歩道を進む。安全とは言い切れない。

小さい方の小島、小弁天。海の向こうには鴨川市が見える。

■蓮華ヶ淵は綺麗だけど色々危険

 漁民アパートから左に、海岸沿いの道がある。この道はこの道で落石の危険がある。崩れそうな建物の次は落石である。注意しながら自己責任で進むと、そこには蓮華ヶ淵と呼ばれる美しい砂浜がある。

 大きめの島と小さめの島が左右にあり、それぞれ大弁天、小弁天と呼ばれている。かつてここで日蓮が生まれたとされ、最初の誕生寺はこの付近に建てられていたのだそうだ。が、津波で流されて綺麗サッパリ無くなってしまった。以後、誕生寺はもうちょっと内陸に建てられている。

 昔、天皇陛下が訪れた時に建てられた休憩所もあるが、トイレの中が砂で埋まっていたりしてなんとも良い廃墟になっている。素敵だ。

 非常に綺麗で泳ぎたくなる海岸だが、一帯は遊泳禁止になっている。なんでかって言うと潮の流れが激しいから。毎年の様に水死者が出て、それが漁師の網に掛かって水揚げされる。

蟹に食われて一部無くなってたり、水死すると割りと悲惨な事になるので注意して欲しい。

蓮華ヶ淵を堪能したら、今度は誕生寺に行ってみる?

夏に撮った写真なので水に入ってます。泳ぐのは禁止だけど磯遊びは可。右に見えるのが大弁天。

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.